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【広報コラム】AI時代の企業ブランディング!NO.17 AI時代、「情報の均質化」からどう脱却するか

こんにちは。㈱電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所 部長 兼 上席研究員の増田勲です。コラムを読んでいただきありがとうございます。

前号では、「ブランドはイメージ戦略だけでは創れない?」というテーマのもと、AI時代には企業が発信するイメージだけではなく、社会に蓄積された「ファクト」が企業ブランドを形成する時代になったこと、そして企業の日々の活動が魅力となり、ブランドへと育まれていくことについてお話ししました。

では、AI時代に企業は、どのような「ファクト」を磨いていけばよいのでしょうか。今回は、その答えとなる「人的魅力」、すなわち企業の「人格」の重要性について考えていきます。

AI時代に加速する「情報の均質化」

生成AIの普及によって、企業が情報を発信するハードルは大きく下がりました。ニュースリリースやオウンドメディアの記事、SNS投稿、プレゼンテーション資料まで、AIを活用すれば、一定水準以上のコンテンツを短時間で制作できる時代です。

しかし、その一方で起きているのが、「情報の均質化」です。どの企業も分かりやすく、AIによって整理された情報を、効率よく発信できるようになった結果、情報そのものだけで差別化することは、ますます難しくなっています。だからこそ、AI時代の企業ブランディングでは、「情報の違い」以上に、「企業そのものの違い」が重要になります。

その企業は、何を大切にしているのか。どのような姿勢で社会と向き合っているのか。何に挑戦し、どのような強みを培ってきたのか。そうした、その企業ならではの「人格」こそが、情報が均質化する時代に企業を差別化する重要な要素となるのです。

さらに、生成AI自身も企業を理解する際には、ニュースリリースやホームページだけではなく、ニュース記事やSNS、口コミなど、社会に存在する膨大な情報を横断的に読み解いています。

つまり、企業が「何を発信するか」だけで、自らのブランドを形づくることは難しくなっています。企業が発信した情報だけではなく、社会に蓄積された様々なファクトから、「その企業が何を大切にし、どのように行動しているのか」が浮かび上がる時代だからです。

情報が均質化すればするほど、最後に差がつくのは「情報」ではなく、「企業そのもの」。AI時代とは、企業の「人格」そのものが、ブランドの差別化要因になる時代なのです。

時代の変化に合わせ、「魅力度ブランディングモデル」を進化

企業広報戦略研究所では、生活者が企業のどのような活動や事実(ファクト)に魅力を感じるのかを分析するため、「魅力度ブランディングモデル」を開発し、2016年から毎年調査を実施しています。
しかし、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。生成AIの普及、人的資本経営への関心の高まり、PBR改革(株価を意識した経営改革)、地政学リスク、社会課題への対応など、企業に期待される役割は10年前とは大きく異なります。

そこで2025年、私たちは「魅力度ブランディングモデル」をアップデートしました。今回の改訂では、「魅力度ブランド調査」で得られた1万人の自由回答(フリーアンサー)をAIで分析し、生活者の生の声から企業に求められる魅力を抽出。
さらに、中期経営計画に表れる経営者の視点や、政府・行政、金融機関が企業に求める要素まで幅広く分析し、「これから企業に求められるファクト」を再整理しています。


つまり、企業ブランドを考えるうえで重要なのは、「消費者にどう見られるか」だけではありません。多様なステークホルダーから、どのような企業として評価されるか。その視点を反映したモデルへと進化させました。

「何を言うか」だけでなく、「誰が言うか」がブランドになる

アップデートしたモデルでは、「人的魅力」の領域に新たに「パーパス・ビジョン」「フロンティアスピリット」「技術」などを加えました。

一見すると、技術やパーパスは企業活動そのものの話に思えるかもしれません。しかし、私たちはこれらを「人的魅力」と位置づけています。なぜなら、それらは企業という法人が持つ「人格」を表しているからです。

人に置き換えて考えると分かりやすいでしょう。私たちは誰かの話を聞くとき、その内容だけで相手を評価しているわけではありません。その人は、どんな志を持っているのか。困難にどう向き合ってきたのか。どんな専門性や技術を持っているのか。どんな信念で行動しているのか。そうした「その人らしさ」を知ることで、「この人の言うことなら納得できる」「この人を応援したい」と感じます。

企業も同じです。AI時代になればなるほど、「何を発信したか」ではなく、「どんな企業が言ったのか」が、ブランドを左右するようになります。企業のパーパス・ビジョンは「志」、フロンティアスピリットは「挑戦する魂」、技術は「腕前」と言い換えることもできます。

企業の「人格」が伝わるからこそ、その企業のメッセージに説得力が生まれるのです。

人格が、人を動かす

魅力度ブランド調査では、企業に魅力を感じた人の約7割が、購入・利用、投資、就職・転職など、何らかの行動を起こしていることがわかりました。さらに、「購入」「投資」「就職」のいずれの行動においても、その行動につながる魅力のランキング上位に、「人的魅力」の領域が入っています。

つまり、人を動かしているのは、商品だけでも、広告だけでもありません。その企業の理念や姿勢、挑戦する意志、そして人から伝わる魅力なのです。AIによって、情報を発信することは、これまで以上に容易になりました。

しかし、企業の「人格」までAIが創り出すことはできません。だからこそ、AI時代にブランドを育てることは、企業の「人格」を磨くことにほかなりません。日々の挑戦や誠実な経営、社会への向き合い方という「ファクト」を積み重ね、それが企業らしさとして社会に伝わるとき、人は心を動かされ、購入し、投資し、働きたいと感じるのです。

AI時代に最後に選ばれるのは、「何を発信したか」ではなく、「どんな行動を積み重ねてきたか」が伝わる企業なのではないでしょうか。

次回は、企業が商品やサービスを通じて「提供する価値」から伝わる「商品的魅力」に焦点を当てながら、AI時代の企業ブランディングについてさらに考察していきます。
どうぞご期待ください。

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次回もどうぞご期待ください。
※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。

執筆者プロフィール


増田 勲
㈱電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所 部長 兼 上席研究員
広告代理店で約14年間、マーケティングコミュニケーション業務全般に携わる。2014年電通パブリックリレーションズ入社。ディレクション職として、飲料メーカー、外資系コーヒーチェーン、精密機器メーカー等を担当し、戦略シナリオの策定や商品・サービスのローンチ時期の戦略PRに従事。
現在は、企業広報戦略研究所で、「企業広報の発展」に寄与すべく、産学連携による調査研究・論文・学会発表等を実践。企業のブランディングや経営広報、KPIの設定、広報効果測定、新モデル開発等の業務を行う。経営管理学修士(MBA)。日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。


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