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【広報コラム】AI時代の企業ブランディング!NO.18 AIが「共感」を創る時代、人は「感動」を求める!

こんにちは。㈱電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所 部長 兼 上席研究員の増田勲です。コラムを読んでいただきありがとうございます。

第16回から、「AI時代の企業ブランディング」というテーマのもと、いまの時代に求められる企業ブランディングについて考察を進めています。

前号では、当研究所が提唱する「魅力度ブランディングモデル」の3つの魅力「人的魅力」「商品的魅力」「社会的魅力」のうち、「人的魅力」に焦点を当てました。AIによって情報が均質化する時代だからこそ、最後に違いを生み出すのは企業そのもの。企業の理念や姿勢、挑戦する意志などから伝わる「人格」が重要になる、という内容でした。

今回は、「商品的魅力」について考えていきます。そして、この「商品的魅力」をひもといていくと、AI時代の企業ブランディングにおいて重要になる、ある一つのキーワードが浮かび上がってきます。それが、「感動」です。

「商品的魅力」とは?

当研究所では、「商品的魅力」を次のように定義しています。
商品的魅力――感動・共感・独創・革新性など、商品・サービスを通じて、企業が「提供する価値」から伝わる魅力。 

例えば、「iPhone」という商品を通じてAppleという企業に魅力を感じたり、「カップヌードル」を買うことで、日清食品という企業に魅力を感じたりする。商品やサービスを実際に見たり、使ったり、体験したりすることで、その背後にある企業そのものへの評価が形成されていきます。

商品的魅力は、企業ブランドを形成するうえで非常に根源的な魅力です。そのため、2016年に「魅力度ブランディングモデル」を開発した当初から、3つの魅力の一つとして変わらずに位置づけています。では、実際にどのような業界で、商品的魅力が重視されているのでしょうか。

商品・サービスを通じて伝えるべき魅力は、業界によって異なる

「魅力度ブランド調査」を分析すると、企業に求められる魅力は、業界によって大きく異なることが分かります。下の図は、業界ごとに重視される魅力のトップ3が似ている業界を近づけて配置したものです。業界ごとの特徴が見て取れるかと思います。

例えば、図の右下に記載してある「航空・物流」「流通・小売」「外食」「コンテンツビジネス&プラットフォーム・サービス」業界では、「接客対応」「ニーズ開発」「コストパフォーマンス」など、商品的魅力に属する項目が上位に入っています。

ここから見えてくるのは、企業が伝えるべきなのは、必ずしも商品の機能や新しさだけではない、ということです。「お客さまの困りごとを、どこまで解決しようとしているのか」「期待を超える体験を、どこまで提供できているのか」そうした企業の努力そのものが、商品・サービスを通じた魅力になります。

一方、「住宅・住宅設備」や「飲料」業界では「安全・安心」が重視され、「輸入EV自動車・自動車関連部品」「電気機器」では「独創・革新性」も重視されています。つまり、企業は自社の業界で生活者が何を期待しているのかを捉え、磨くべき魅力を見極める必要があるのです。

商品的魅力は「体験」から伝わる

もう一つ、商品的魅力を考えるうえで重要なのが、「どこから魅力が伝わるのか」という視点です。調査では、生活者が企業の魅力を見聞きした情報経路として、1位が購入・利用・お試しなどの「リアル体験」で40.6%。次いでテレビCMなどの「メディアの広告」が33.5%、ニュースや特集などの「メディアの番組・記事」が31.4%となりました。注目したいのは、「リアル体験」が最も高いことです。

企業が「私たちの商品は素晴らしい」と語るよりも、実際に商品を使ったほうが、「これはすごい」と感じたり、サービスを受けて「ここまでやってくれるのか」と驚いたりします。

商品的魅力とは、企業が一方的に“伝える”ものではなく、生活者が体験を通じて“感じる”ものでもあるのです。そして、この「感じる」という体験価値が、AI時代にはこれまで以上に重要になります。

AI時代、商品的魅力に求められる「感動」

前号でもご紹介した通り、私たちは2025年、「魅力度ブランディングモデル」をアップデートしました。「魅力度ブランド調査」で得られた1万人の自由回答をAIで分析するとともに、約50社の中期経営計画や、政府・行政、金融機関など多様なステークホルダーの視点を分析し、「これからの企業に求められるファクト」を再整理しました。その中で、商品的魅力に新たに加えた要素の一つが「感動」です。

約50社の中長期経営戦略を分析したところ、この「感動」という言葉を掲げる企業が増えていることに気づきました。たとえば、ソフトバンクでは、人々にとっての「幸せ」を、「感動すること」と同義であると捉え、見る感動・出会う感動・学ぶ感動・遊ぶ感動などの「感動」を進化させる未来を描いています。また、ソニーグループでも「感動(KANDO)」は、グループの実質的なパーパスとして掲げられています。

なぜ今、「感動」なのでしょうか。私は、この変化はAIの急速な普及とも無関係ではないと考えています。

「共感」の先にある、「感動」を

「共感」と「感動」。どちらも、人の心に関わる言葉ですが、その意味には大きな違いがあります。
共感は、心を「重ねる」こと。感動は、心を「動かされる」こと。共感とは、相手の考えや気持ちに触れ、「わかる」「私もそう思う」と感じることです。そこには、自分がすでに持っている価値観や経験との「一致」があります。

一方、感動とは、文字通り「感じて、動く」こと。思ってもみなかった商品に驚く。想像以上のサービスに心を奪われる。「そこまで考えてくれていたのか」という企業の配慮に触れる。そこにあるのは、単なる「一致」ではありません。企業が生み出した価値や体験によって、人の心が動かされるという「変化」です。

言い換えれば、共感は、「わかる」。感動は、「動かす」。この違いが、AI時代には非常に重要になるのではないでしょうか。

AIは人の好みや行動などのビッグデータを学習し、一人ひとりが「好きそうなもの」「納得しそうなもの」「共感しそうなもの」を高い精度で瞬時に提示できるようになっています。自分好みの商品。自分好みのコンテンツ。自分の意見に近い情報。自分の気持ちに寄り添った言葉。

AIによるパーソナライズが進めば、「そうそう、これが欲しかった」「わかってくれている」という“小さな共感”は、日常の中にあふれていくでしょう。つまり、「わかってもらえる」ことの希少性は、相対的に低下していく可能性があります。

だからこそ企業には、その一歩先が求められます。「そんなことまでしてくれるのか」「そんな未来を考えているのか」「そこまで本気で取り組んでいるのか」そんな、自分の予想や理解の範囲を超えて心が動く瞬間を、商品やサービスを通じて生み出せるかどうかが重要になるのです。

もちろん、これまで企業が大切にしてきた「共感」が必要なくなるわけではありません。しかし、AIが「あなたを理解すること」を当たり前にしていく時代になればなるほど、企業は「わかってくれる存在」だけではなく、「心を動かしてくれる存在」になれるかどうかが問われていくのではないでしょうか。

「共感」で終わらず、一歩先の「感動」へ。それこそが、AI時代の商品的魅力に求められる新しい価値なのではないでしょうか。

次回は、2025年に新たに加えた「社会的魅力」に焦点を当てながら、AI時代の企業ブランディングについてさらに考察していきます。どうぞご期待ください。

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次回もどうぞご期待ください。
※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。

執筆者プロフィール


増田 勲
㈱電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所 部長 兼 上席研究員
広告代理店で約14年間、マーケティングコミュニケーション業務全般に携わる。2014年電通パブリックリレーションズ入社。ディレクション職として、飲料メーカー、外資系コーヒーチェーン、精密機器メーカー等を担当し、戦略シナリオの策定や商品・サービスのローンチ時期の戦略PRに従事。
現在は、企業広報戦略研究所で、「企業広報の発展」に寄与すべく、産学連携による調査研究・論文・学会発表等を実践。企業のブランディングや経営広報、KPIの設定、広報効果測定、新モデル開発等の業務を行う。経営管理学修士(MBA)。日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。

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