著作権Q&A
著作権
File 03 うまい話にはエアポケット
広報課で待つ飯江に、バイク便で切り抜きの原紙とコピーが届いた。「うわあ、助かる。今までの2時間作業がなくなって、新聞社に払っていた許諾料もいらなくなるなんて」。だが、「うまい話」には、やっぱり裏があった。
お悩み 27 |著作権について意識を高める簡単な方法はないでしょうか。(教育)
「簡単な方法」は、なかなかありません。 ①早期からの教育(新人研修など)②繰り返し教育(定期的な講習開催など)、が王道でしょう。 また社員のモチベーションと絡めて、③著作権関係の検定合格を評価の1項目として採用する④専門家を招いた社内著作権セミナーに参加したレポートを昇格条件とする、などの方法もあります。外部サービスをうまく使えるといいですね。
お悩み 25 |自社の幹部が個人のFBなどで取材記事の写メを大きく撮影し、著作権のことをまったく考えずアップしてしまいます。(人材派遣)
個人のフェイスブックページであっても、公開している場合は私的使用にはあたらないため、著作権侵害となります。 たとえ記事の内容がご本人のインタビューであっても、著作権は記事を作成した側に帰属するからです。 ご本人には、「お悩み23」の事例を示すなどし、リスクを冒していること、ライバル社の目に触れる可能性もあることを認識していただくのがよいかと思われます。
お悩み 23 |著作権を無視した記事の利用(転記、社内配布など)での罰則、事例などがあれば教えてください。(証券)
週刊誌の記事を、スキャンしたうえで庁内LANに掲載し、多くの職員が閲覧できる状態にした、という例がありました。 記事の筆者側から提訴され、電子書籍として販売された場合の利益などを計算し、損害賠償命令が出されています。 ある団体では、無断コピー回覧が発覚し、新聞社から改善を求められても担当者が無視を続けていた、というケースがあります。 新聞社では団体の幹部と直談判に及び、さかのぼっての許諾料支払いという結果となりました。 無許諾のコピー・スキャンはもちろんNGですが、発覚した後も適切な措置をとらないと、さらに傷を広げてしまいます。
お悩み 19 |自社記事を社内に知らせることと著作権のバランスを、どうとったらよ いでしょう。社員への著作権教育の方法も知りたい。(電機)
自社・業界記事を社内でスピーディに共有することは重要です。著作権侵害を恐れて手を出さないのでは、大きな機会損失になるでしょう。新聞社から許諾を得るか、または著作権処理済みのクリッピングを使うか、正当な方法での記事活用を考えましょう。 (社員への著作権教育は「お悩み03」の回答をご参照下さい)
お悩み 18 |掲載情報を社内メールで周知することは著作権上問題はあるのでしょうか。(保険)
「新聞の見出しにも著作権がある」と主張している新聞社もあります。見出しを複製して継続的に社内メールしているのであれば、新聞社に申請する方が良いと思います。見出しを使わずに記事の簡単な概要を書くのであれば問題はないでしょう。 電子版記事のURLをメール周知するなら、各新聞社のサイト(リンクポリシーなど)を確認してください。リンクを張る場合の申請を求めているサイトもあります。
お悩み 16 |作成した広告に他企業のキャラクターを登場させていた場合には、広告の著作権の帰属はどうなりますか。(広告)
広告全体の著作権の帰属については、広告主、作成者、キャラクター権利者などで散在する状態を避けるには、契約時に決めるしかないと思いますが、そこまで契約に盛り込むのは大変かもしれません。 問題になるのは再利用時、2次利用時、などではないかと思いますので、その場合の利用ルール(申請方法、利用料など)を決めておけばいいのではないかと思います。
お悩み 14 |HPに「○○テレビの○○番組(番組名)で当社の新商品○○が紹介されました」と文字情報として掲載することは問題はないですか。(食品)
番組の内容を簡単な文字情報で掲載することは問題ありません。番組製作者に許諾を取る義務もありませんが、マナーとしては一言お知らせしておく方がいいと思います。 ただし、一字一句を文字に起こしたり、映像を掲載することは、無許諾複製にあたりますので避けてください。
お悩み 12 |契約終了したタレントが出演している過去のCMの扱いが分かりません。広告主企業の判断だけで利用OKでしょうか。タレント事務所、制作会社への確認も必要なのでしょうか。(OA機器)
CMを含めて、映像作品には当然ながら著作権が発生しています。 「ホットライン テレビ番組著作権」では、「テレビ番組は脚本や音楽といった様々な著作物の集合体とも言えます。例えばドラマ番組は、原作や脚本、俳優が行った演技、音楽などの著作物によって構成されています。ですので、番組を使用する場合にはテレビ局だけでなく、これら著作物の著作権を持つ人・会社からも許諾を得る必要があります」となっています。 このCMの場合は、だれが著作権者なのか、CM作成時の契約書などで確認し、必要なら許諾をとらなければならないでしょう。
お悩み 11 |広報部門として抑えるべき法律を学び、社内で周知していくことを課題としています。良い方法 はありますか?(医薬品)
社内の著作権教育の「制度化」を考えてはいかがでしょうか。 ①社内研修のメニューに加える②まず社外の講師を迎え、ゆくゆくは広報部門の社員が講師となる③検定試験の費用を個人に補助する、または団体受検日を設けて一気に資格者を増やす、などの段階が考えられます。