【第9回】「地図」は著作物?
私たちの生活に欠かせず、またスマホなどから無料で確認できる地図。この地図に独自の情報を加えて社内に配っていた企業が、地図の制作会社から著作権侵害だとして訴えられた裁判があります。本件は地図の著作権侵害となるのでしょうか。
①地図は全て著作物だから、著作物の「翻案」にあたり著作権侵害になる。
②地図に載っている情報に創作性がある場合、地図も著作物となるので著作権侵害になる。
③地図は地形や土地の現状を客観的に表現するものであり、全て著作物には該当しない。
④地図に情報を追加して配布しても著作権上の問題はない。
②地図に載っている情報に創作性がある場合は地図も著作物となるので、本件は著作権侵害になる。
地図は一般的に、地形や土地の利用状況を決まった記号で表現しています。そのため、個性的な表現の幅が少なく、著作権による保護を受ける範囲が狭いのが通例です。しかし、地図に記載する情報の選択や、その表示方法に創作性があれば、地図も著作物として認められます。情報の選択や表現には、地図作成者の個性、学識、経験などが必要だからです。
著作権判例クイズは弊社顧問弁護士の監修のもと作成しております。
- 令和4年5月27日東京地方裁判所 令和元年(ワ)第26366号 著作権侵害差止等請求事件
- 著作権法第10条6項