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【広報コラム】パブリックリレーションズを経営に! 人的資本経営のコミュニケーション戦略~個人投資家をファンにするには?~NO.1

新しく連載コラムとしてスタートします「パブリックリレーションズを経営に!」の初回を担当します、
(株)電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所の阪井完二と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私は、様々な企業や団体のコーポレートコミュニケーションやリスクマネジメントなどをご支援させて頂き、そのノウハウの体系化・PRのエビデンスづくりなどに励んでおります。そうした経験を活かし、このコラムでは“PR”とも略されることの多いパブリックリレーションズが持つ本当の良さや楽しさを、企業経営にどのように活かせるのか、ヒントやコツなどを共有していければと思います。


第1回目は、2025年3月に慶應義塾大学において開催された【「企業価値に資する人的資本経営」研究コンソーシアム】で筆者が講演した「人的資本経営のコミュニケーション戦略 ~個人投資家をファンにするには?~」をベースにコラムを書き進めたいと思います。

注目すべき企業のステークホルダーとは?

 

2025年3月6日 【「企業価値に資する人的資本経営」研究コンソーシアム 2024 年度公開シンポジウム】   慶應義塾大学三田キャンパスにて(筆者、左)



企業におけるパブリックリレーションズとは、企業をとりまく「ステークホルダーの期待や不安に応える」ことだと、筆者は理解しています。企業にとってのステークホルダーとは、顧客や取引先、地域住民、金融機関、行政、従業員、投資家などを指しますが、近年、注目度が急速に高まっているのが「個人投資家」です。


次のグラフを見て頂きたいのですが、筆者が所長を務める企業広報戦略研究所が定期的に上場企業を対象に調査を続けている「企業広報力調査」からのデータです。最新の2024年調査と、10年前を比較すると、重視するステークホルダーが大きく変化してきていることがわかります。 


「個人投資家」は2024年調査から新たに加えた項目なのですが、高いだろうと予測をしていましたが、いきなり3位に食い込んでくるとは想定外の驚きでした。

このように注目度が高まっている「個人投資家」の皆さんは、今、話題の「人的資本」にどの程度関心があり、どのような情報発信を期待しているのかを調べるために、慶應義塾大学保田隆明教授らと開発した「非財務クロスバリュー」というモデルを活用して調査分析をおこないました。

強化すべき「非財務情報」とは?

非財務情報というのは、国際統合報告評議会(IIRC)が定めたフレームワークで、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本の5つから構成されると制定されており、このフレームに則り、個人投資家と企業の双方に調査をおこないました。
結果は、個人投資家側が期待する情報の1位は「人的資本(26.1%)」で、2位は「社会・関係資本18.4%」となりました。一方、企業(回答数533社)が今後、発信を強化しようとしている非財務情報の1位も「人的資本(70.4%)」、2位も僅差で「社会・関係資本69.4%」と、双方が同様の結果となりました。

この2つの調査結果から、個人投資家も、企業も「人的資本」を活用しながら、社内外のステークホルダーとの良好な「社会・関係資本」を築いていこうとする姿勢が明らかになったと考えられます。
 

これは冒頭で記載した筆者のパブリックリレーションズに対する考え方「ステークホルダーの期待や不安に応える」にとても近いのではないでしょうか。
個人投資家が、投資先企業に抱く期待や不安は「将来も成長できそうか? しっかりと人財は育っているのか? 社員のモチベーションは大丈夫か?」などの点が大きいと思います。
これらに応えるためにも将来価値としてもっとも期待値が高い人的資本関連の情報をより具体化して発信していく必要があります。例えば現場で活躍されている技術者・職人などのスターを紹介していくことや、具体的なリスキリング活動、さらにはCEOをはじめとしたCxOから人財育成に向けた覚悟や熱い思いなどを発信していくことが、期待や不安に応えることになると考えております。
 

こうした「人的資本経営」については日ごろから他社事例を観察しておくことをお勧めします。

どのような人財育成活動をしているのか?

どのような切り口やタイミングで発信をしているのか?

トップはどのようなメッセージを出しているのか?

そしてステークホルダーからどのような反応(アウトカム)を得ているのか?

また、人的資本経営と関係性の深いDEI(Diversity, Equity & Inclusion)についてはアメリカを中心に見直しの機運が高まっているため、米国政府や企業そして世論の動向にも注視が必要です。


こうした人的資本関連の情報や、自社に対する期待や不安の声を効率よく収集し、社内共有していくのは、とても大変なことですので、よい仕組みを上手に活用していくことが重要ではないかと考えます。

毎朝必要な記事を効率よく収集!
ELNETのクリッピングサービスは新聞約100紙、雑誌約30誌、WEBニュース約1,500サイトからの収集した記事情報を毎朝お届けします。


 第2回では、人的資本に比べて認知理解度がさほど高くないものの、情報発信への期待が高い「社会・関係資本」を中心に非財務情報のコミュニケーションのあり方について紐解いていきたいと思います。

※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。


執筆者プロフィール


阪井完二
企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内) 所長 
◎専門領域:コーポレートコミュニケーション、企業ブランド、リスクマネジメント、パブリックアフェアーズ、ESG/非財務情報
◎主な著書:「新・戦略思考の広報マネジメント」「戦略思考の魅力度ブランディング」「戦略思考のリスクマネジメント」など
◎受賞/審査員等:2024日本PR大賞審査員、日本PR協会PRアワードグランプリ審査員、マーケティング学会最優秀論文賞(ベストペーパー賞)受賞など


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