【ELspot+】 『報道・露出の集計で手一杯からの脱却! ~広報活動の目的と日々の業務を結び付ける広報・PR効果測定とは~』

【本日の流れ】
1:レクチャー:広報活動の目的と日々の業務を結び付ける広報・PR効果測定とは
ゲスト講師:西山 大地 氏(株式会社電通PRコンサルティング 統合コミュニケーション局データストラテジー部 シニアコンサルタント)
2:グループワーク&ディスカッション
3:参加者の感想
4:講師からのメッセージ
【背景】
年度末は1年間の広報活動の成果を振り返り、次年度の目標を立てるために、「効果測定」が行われる時期です。実際、ある調査によれば、約8割の企業で「広報活動の効果測定」が行われており、その重要度は年々増しています。しかし、広報部門が担うミッションは長期的・質的なものであり、その成果を可視化・数値化することは簡単なことではありません。そのため、多くの広報担当者が、広報活動における最大の悩みとして「効果測定の難しさ」を挙げています。(※)
「広報の効果」とは何でしょうか。どうすればそれを「測定」できるのでしょうか――。1年間の広報活動を振り返るにあたり、改めて、「広報効果測定」の基本的な考え方や方法論について整理・確認することが重要なのではないかと思います。
そこで、12月のELspot+の交流勉強会では、国内外の多くの企業で広報効果の測定支援業務を行っている株式会社電通PRコンサルティングのシニアコンサルタント・西山大地氏をお招きし、「広報の効果測定」について、基本的な考え方、具体的な測定方法、また、実施にあたっての着眼点などについて、実例を交えながらより広い視座・視点からレクチャーいただきました。
本レポートでは、レクチャー内容のサマリー、ディスカッション内容、および、参加者の方々の感想をお届けします。
※参考資料)https://prx.dentsuprc.co.jp/blog/c157
【本日の交流勉強会】
1: レクチャー:「広報活動の目的と日々の業務を結び付ける広報・PR効果測定とは」(西山 大地 氏)
ゲスト講師:西山 大地 氏(株式会社電通PRコンサルティング 統合コミュニケーション局データストラテジー部 シニアコンサルタント)
https://www.dentsuprc.co.jp/
【Contents】
1)そもそも「広報活動における“効果”」とは何か
2)広報の効果を測る3つの視点~インプット・アウトプット・アウトカム~
3)「アウトカム」から“逆算”して考える
4)効果測定実施にあたっての着眼点
5)お役立ちツールの紹介
6)まとめ:広報効果測定の明確化は、広報担当者のモチベーション向上につながる
【Summary】
1)そもそも「広報活動における“効果”」とは何か
レクチャーは、まず、「そもそも広報活動の“効果”とは何か」という、基本的な考え方の確認を行いました。西山氏は、「それは、その企業の事業内容や目的、また、広報のミッションや重視するステークホルダーによりケースバイケースである」としつつも、「広報活動の効果」の基本的なあり方について、次のように述べます。
●「日本広報学会の定義によれば、広報とは、『多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能』です。
そこから考えると、単なる「メディアへの掲載件数」は“最終的な効果”とは言えず、ステークホルダーとの良好な関係性の構築および彼らの意識・態度変容こそが“本質的な効果”と言えるのではないでしょうか」(西山氏)
2)広報の効果を測る3つの視点~インプット・アウトプット・アウトカム~
その上で、「広報活動の効果を測る際の視点として、①インプット、②アウトプット、③アウトカム、という3つのフェーズがある」と、西山氏は言います。
▶ ①インプット(活動量):情報を広げるための自社での取り組み
・ 例:リリース配信数、メディアとのリレーション構築数、企画書作成数、等
▶ ②アウトプット(露出量):メディアによる情報の広がりの程度や内容
・ 例:メディア露出件数、記事掲載数、転載数、等
▶ ③アウトカム(影響度):情報を受け取った人に与えた影響
・ 例:顧客認知度、好意度、意識・行動変容(サイト訪問、問い合わせ、購買)、等
●「多くの企業では、測定しやすく目に見えやすい『アウトプット』(記事掲載数、露出件数)の数字に目がいきがちです。しかし、そのアウトプットが、『アウトカム』 (ターゲット顧客への影響度)につながっていなければ、いくらアウトプットの量を増やしても意味がありません。ですから、最終ゴールである『アウトカムへのつながり』に着目することが重要になります」(西山氏)
3)「アウトカム」から“逆算”して考える
そのため、広報の戦略や活動計画を立てる上では、最終ゴールである「アウトカム」から“逆算”してアウトプットやインプットを設定することが重要になる、と言います。
● 「具体的には、広報活動の戦略や計画を立てる際に、『誰に(ターゲット)、どのような意識・行動変容(アウトカム)を起こしてもらいたいか』を明確にし、そこから“逆算”して必要なアウトプット(メディア露出量など)やインプット(自社での活動量など)を設計することが重要です。それができれば、シンプルな指標であっても意味のある広報効果測定を行うことができます」(西山氏)
このような「アウトカムからの逆算」が重要になった時代背景には、情報流通の変化があると西山氏は言います。
● 「こうしたことの背景には、情報流通の仕方が大きく変わったことがあります。以前はマスメディアに露出すれば全員に情報が届く時代でしたが、今はメディアが多様化し、ターゲットごとに最適なメディアが異なります。そのため、『こういう人に届けたい』という解像度を高め、彼らが普段どのメディアに接触しているかを特定することが重要になるのです」(西山氏)
4)効果測定実施にあたっての着眼点
以上の考え方を踏まえて、実際に効果測定の実務を行う際の着眼点(留意すべきポイント)について、西山氏は次のような点を強調しました。
▶ ①各フェーズ(インプット/アウトプット/アウトカム)の「量」の把握にあたって
・世の中にある各種測定ツールを積極的に活用し、徹底的に省力化・効率化を図る
▶ ②アウトプットからアウトカムへの「転換率」の検証にあたって
・ アウトプットからアウトカムへの転換率の測定は、ウェブサイトへの流入数(PV/UU)や検索量、株式の出来高(報道との相関)など、「動きやすい指標」に着目することが有効
▶③ 費用対効果(ターゲット顧客の意識・態度変容の度合)の検証にあたって
・ 顧客認知度や好意度、ブランディング、売上貢献といったアウトカム(最終ゴール)は、広報だけで実現できることではない。他部署を含めた関係者と連携し、それぞれの「役割」を規定した上で各々のKPI(目標)を設定することが重要
● 「いずれにせよ、メディア掲載が広報効果のゴールではありません。大事なことは、「届けたい情報が届けたい人(重視するステークホルダー)にきちんと届いたかどうか」です。そのためには、ステークホルダーが『その媒体/その事柄 によく触れている』 という論拠が必要であり、ステークホルダーにヒアリングするなど地道な取り組みから始めることが重要になると思います」(西山氏)
5)お役立ちツールの紹介
次に、広報担当者の効果測定業務を省力化・効率化し、かつ、経営層の納得感が得られるアウトカム測定のツールとして、電通PRコンサルティングの「PRism Insight」の概要、分析事例を紹介いただきました。
▶ 広報効果測定ツール PRism Insight: https://www.dentsuprc.co.jp/prism-insight/
6)まとめ:広報効果測定の明確化は、広報担当者のモチベーション向上につながる
最後のまとめとして、西山氏は、「効果測定の明確化は広報担当者の仕事のモチベーション向上にもつながる」という点について述べました。
● 「広報の効果測定は、無闇に数を測るだけではモヤモヤは解消されません。効果測定は戦略(目的)あってのものです。誰のどんな意識や態度をどう変えたいのか、それが自社の経営にどう貢献するのかという『アウトカム』を考えることこそが、広報の効果測定の第一歩です。
それが、広報担当者のモチベーション向上にもつながるでしょうし、社内における広報の位置づけの向上にもつながると思います」(西山氏)
2:グループワーク&ディスカッション
西山氏のレクチャー内容を踏まえて、グループに分かれ、「みなさん、効果測定、どうやっていますか?」をテーマに、自社での効果測定の現状や課題についてディスカッション&情報共有をしました。
《主なディスカッションでの議論・意見》
▶ インプットやアウトプットの効果測定はできているが、アウトカムの設定・効果測定はできていないのが実状(同意見多数)。
▶ B to B企業として「自社の知名度を上げる」ことを広報の第一の目標(アウトカム)としているが、それをどうやって測るのかが難しい。
▶ 公的機関の場合、ステークホルダーが多岐に渡るため、ターゲット顧客を絞り込むことが難しく、明確なアウトカムの設定ができていない。
▶ インプットとアウトプットの相関(転換率)は取ることができるが、アウトプットとアウトカムの相関を把握することは非常に難しい。
▶ 「調査リリース」を出した場合などは、広報に「詳細を聞きたい」という問い合わせが来るため、アウトカムの効果(手応え)を感じることができた。
▶ 記事が掲載されたかどうかはチェックしているが、それが実際にターゲット顧客に届いているのかどうかが分からない。
▶ 最近、SNSの活用に力を入れているが、どのメディア(X、Instagram、YouTube、TikTok、Facebookなど)に発信すればどういうターゲットに届くのかが明確でない。
《講師のコメント》
●「アウトカムの効果を測定する場合、顧客認知度や意識・行動変容度といった質的な指標は抽象的で“遠すぎる”ため、もう少し手前にある“動きやすい数字”(例:サイト流入数、SNS反応数)を中間目標として設定することが有効だと思います」(西山氏)
● 最初から的確で精緻なアウトカムを設定することは難しいと思います。顧客に対するアンケート調査やヒアリング、様々なデータの相関分析など、できることを地道に実行しながら『こうすればいいんだ』という“成功体験”を積み重ねることにより、自社に相応しい効果測定が可能になるのだと思います」(西山氏)
3:参加者の感想
今回の交流勉強会の参加者からは、次のような感想がありました。
・ 従来のアウトプット評価に留まらず、「アウトカム」の考え方や重要性、効果測定方法について具体的なヒントを得ることができました。
・ 効果測定の基本的な考え方や具体的な手法を聞くことができました。社内に持ち帰って経営層や広報部内にフィードバックし、来年度の目標に活かしていきたいと思います。
・ 広報活動の効果測定については、どの企業も同様の課題や悩みを抱えていることが分かりました。その中での他社の工夫点や事例を聞くことができ、大変参考になりました。
・ 異業種の方とのディスカッションや意見交換が非常に刺激的でした。新たな気づきもあり、モチベーションアップにつながります。
・ なかなか正解が見えにくいテーマだと思いますので、引き続き、参加者同士のディスカッションや情報交換ができればと思います。
4:講師からのメッセージ
・ 広報活動の目標設定は企業・組織ごとにさまざまです。広報の効果測定も、その目的が定まってこそ意味を持ち、有効に機能します。まずは最終ゴールを描きながら、ステークホルダーがどのメディアに触れているのか、根拠づくりからコツコツ始めていきましょう。









