【ELspot+】広報におけるAI活用[前編] -2024.06.13-
【本日の流れ】
- はじめに:ELspot+で大事にしていること(ELNET営業部長 佐藤 宏之)
- 参加者の自己紹介
- レクチャー:『広報におけるAI活用』
- アドビ株式会社 執行役員 広報本部長 鈴木正義氏
- グループディスカッション:『広報におけるAI活用~AI活用事例の共有と改善策~』
【背景】
いま、さまざまな分野や業務でのAIの活用が進んでいます。
広報業務においても、プレスリリースのドラフト作成や掲載画像の編集、広報企画のアイデア出し、記事の要約・分析など、様々な活用方法が提案・実践されています。
しかし、実際のところは、積極的に活用している会社もあれば、まだまだこれからという会社も多いのではないでしょうか。
AIは非常にインパクトの大きいテクノロジーですが、新しいテクノロジーが出てきた時こそ、「なぜ、それを使うのか」「それを使って、何をしたいのか」を考えることが重要ではないでしょうか。
そこで、今回は、「広報におけるAI活用」をテーマとして、各社でのAI活用状況や事例、また、活用の成果や障壁について情報交換・共有しました。本レポートでは、前編と後編に分け、前編ではレクチャー内容とディスカッションの一部をご紹介します。
【本日の交流勉強会】
1.はじめに:普段話せないことも自由に話せるELspot+(ELNET営業部長 佐藤 宏之)
私どもが、このELspot+を始めた動機は、ELNETのお客様である広報担当の方々のつながりを作り、お互いに情報交換・共有ができれば、ものすごく有意義で面白い場がつくれるだろう、というものでした。
この場の一番の目的は、会社ではもう当たり前になってしまっていて、言い出せなかったり、相談できなかったりすることを、遠慮なく話し合いながら、お互いに認め合い、褒め合いましょう、というものです。
それが、私どもがめざす、「広報担当者のサードプレイス」です。
今日も、普段話せないようなことを自由に話し合ってください。
2.レクチャー:『広報におけるAI活用』(アドビ株式会社 執行役員 広報本部長 鈴木正義氏)
今回のテーマに関するレクチャーとして、アドビ株式会社 執行役員・広報本部長 鈴木正義氏より、「広報におけるAI活用」と題して、広報業務におけるAI活用の意味や最新動向、事例、また、活用する上で気をつけるべき点などについて、実際にデモを行いながら説明・紹介いただきました。
ポイント①:広報担当者のスキルセットが変わった
これまでの広報担当者には、主に、「いかに分かりやすく伝わりやすい文章を書くか」というスキルが求められていたと思う。しかし昨今、プレスリリースに画像や図版を載せて訴求度を高めたり、動画での社長メッセージを発信したりといったするような動きが活発化する中で、広報担当者には、これまでの「文章書き」のスキルと同時に、「クリエイター」としてのスキルも求められるようになっている。
ポイント②:生成AIを使った広報業務の効率化事例
生成AIは、大きく分けて、「画像生成系」と「テキスト生成系」がある。画像生成系AIを使えば、「伸ばす、消す、切り抜く」だけでなく、画像を思い通りのイメージや風合い、世界観に編集・生成したりすることも、実際には描かれていない景色をAIが想像して創り出すこともできる。また、テキスト生成系AIでは、翻訳や要約、要点抽出のほか、たとえば、動画のキャプション(字幕)を自動生成したり、キャプションから該当するシーンを検索したりすることもできる。
※当日は、上記の事例として、Adobe Express、Premiere Pro、Acrobat等を使った画像生成、動画文字起こしのデモを実演いただきました。
《ご参考》 https://www.adobe.com/jp/
ポイント③:知っておくべきAIのリスクとつき合い方
AIは非常に便利なテクノロジーでありツールであるが、それだけにリスクもある。AIとうまくつき合うには、次のような点に気をつけることが重要である。
・未発表資料や機密資料の取り扱い:読み込んだ文書をAIが学習に使用するか否か
・ハルシネーション(幻覚)問題:ありもしない内容になっていないか。典拠が明確か。
・知的財産権保護への対応:写真の加工来歴をトレースできる取り組み
※コンテンツ認証イニシアティブ:https://contentcredentials.org/
・その他、多様性への配慮、法令遵守、クリエイターへのリスペクトの重要性
3.グループディスカッション:「広報におけるAI活用~AI活用事例の共有と改善策~」
後半のディスカッションでは、グループに分かれ、「実際に使用したAIツールは?」「実際に改善された広報業務は?」「参考にしたい他社事例はある?」「AI導入のハードルは何?」などについて話し合いました。ディスカッションを通して、次のような情報共有や新たな気づきがありました。
「うちの広報ではこんな使い方をしています」(事例)
●プレスリリースの校閲・校正、(機密情報以外の)文書の原案作成、社内の議事録作成、記者会見の文字起こし、などに使っている。
●企画のアイデア出し、キャッチーなタイトル案出し、データ整理などに使っている。
「広報では、こんなことに使えるかも…」(アイデア)
●工事現場では過去のデータに基づいてAIで事故等の発生予測をしているそうだ。ならば、企業活動の危機管理予測にも使えるのではないか。「危機管理マニュアル」の作成にも活用できそう。
一方、「まだまだ活用できていない」理由は…
●著作権に関する問題がまだクリアでないので、踏み出せていない。
●未発表の案件や機密情報については、ChatGPTは使えない。
●「出典元先」が分からないので、内容の正確性に不安がある。
●「プロンプト」のつくり方によって内容の質に大きな差が出てしまう。最適なニュースリリースを作るための「プロンプト」に、まだたどり着けていない。
その他、こんな意見やコメントもありました
●AI活用について積極的な人とそうでない人との温度差が大きい。技術的なハードルの前に、心理的なハードルをどうするかが課題。
●社員を巻き込むために、AI活用による「画像生成コンテスト」をやっている企業があるとのこと。参考にしたい。
ディスカッションでの気づきはまだまだ続きます。後編では6月19日に行われた回でのディスカッション内容と、参加された方々の感想をご紹介します。
以 上
