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【ELspot+】広報としての目標設定、どうしてる?[前編] ‐2024.04.11‐

本日の流れ

  1. ELspot+のコンセプト説明(ELNET営業部 部長 佐藤 宏之)
  2. 参加者の自己紹介
  3. 『広報業務におけるKPI設定の考え方と最新動向』                        (株式会社電通PRコンサルティング シニア・コンサルタント 西山 大地 氏)
  4. グループディスカッション:『各社の広報活動における目標・KPIの課題、改善策』         (①4月11日 ②4月24日)
  5. 参加者の感想

 みなさんは、広報としての目標をどう立てていますか? 目標が達成できたかどうかの指標(KPI)をどのように設定していますか?――広報は、広告や営業活動と比べて、自分たちの活動の明確な目標やゴールを設定したり、その効果を測定したりすることが難しいですよね。「広告と違って、いつどこでどう露出されるかが分からない」「メディアへの露出量(掲載記事数)で効果を測っているけど、本当にそれでいいのか疑問」「広報って会社の売上にどうつながっているの?と聞かれるけど、説明することができない」…など、広報の目標やKPI設定に関しては、課題や悩みも多いことと思います。
  今回のELspot+交流勉強会では、レクチャーとディスカッションを通して、広報としての目標設定やKPIのあり方について考えました。本レポートでは、前編と後編に分け、前編ではレクチャーの内容とディスカッションの一部をご紹介します。

1)ELspot+のコンセプト説明

 今年度第1回目の開催にあたり、ELNET営業部長の佐藤より、ELspot+の目的やコンセプトについて説明を行いました。

「広報の皆さんは、人数が少なかったり、日々の業務がいそがしかったりして、なかなか社内で課題を相談したり、悩みを打ち明けられる場が少ないのではないかと思います。この場が、同じ課題や悩みを持つ人たちが何でも自由に話し合える『居心地の良い場所・サードプレイス』になれればいいと思っています」。
「何かを良くしよう、変えようと思うことはあっても、最初の一歩を踏み出すのはなかなか難しいものですよね。その中で今回参加いただいた皆さまのように、その最初の一歩を踏み出すこと、それこそがELspot+のコンセプトです。この場をきっかけに、新しい一歩を踏み出していただければと思います」。

3)『広報業務におけるKPI設定の考え方と最新動向』

 本日のテーマに関する問題提起となるレクチャーでは、電通PRコンサルティングの西山氏より、広報業務におけるKPI設定のあり方について、次のようなお話がありました。

問題提起1:広報業務におけるKPI設定の基本的な考え方

広報のKPIを策定する上で重要なことは、「まずは、①会社全体の経営戦略の中で『広報が担うべき役割(ゴール)は何か?』を描くことです。その上で、②自分たちの『現状』がどうなっているかを把握し、③ゴールと現状の『ギャップ』を明確にすることです」と、西山氏は言います。そして、「そのギャップを解消するには何をすればいいか?何が達成されれば自分たちの役割を果たせそうか?を考えることによって、測定すべきKPIが自然と見えてきます」。


 問題提起2:広報が陥りがちな3つのワナ

とはいえ、効果(KPI)測定がなかなかうまくできない、という声もよく聞きます。西山氏は、「広報が効果測定を行う際に陥りがちなワナが3つある」と言います。

《ワナ①:データはたくさんあるけど、バラバラに散在しているだけ》

1つ目は、広報の効果を測るためにさまざまなデータを取っているけど、何がどう関係しているのか分からず、データを活かしきれていない状態です。これを解決するためには、データを「点」ではなく「流れ」として理解する必要があります。具体的には、データを、「①インプットデータ(投入データ=配信件数など)」→「②アウトプットデータ(結果データ=掲載件数など)」→「③アウトカムデータ(成果データ=顧客認知度など)」という流れ(構造)の中で捉えることが重要になります。そして、どのデータがどの位置づけにあるのかを意識することが重要だと言います。

《ワナ②:データ収集・分析することが目的になってしまう》

2つ目は、データを集めることに注力するあまり、データを集めただけで満足してしまうケースです。重要なことは、データを集めて分類・整理することではありません。「なぜこの結果なのか」「次に何をすればいいのか」を考えることが重要なのです。つまり、「分析(分類・比較・整理)」ではなく、「解析(原因究明・課題抽出・施策検討)」することが重要なのです。

《ワナ③:途中で、そもそもの目的を見失ってしまう》

3つ目は、データを集めている内に、「いったい、何をやっているのだろう?」と迷子になってしまうというワナです。これは、最終目的(アウトカム)までのルートが一本道でつながっておらず分断されているために起こるワナです。これを解決するためには、そもそも広報が担う最終ゴール(アウトカム)は何かを明確にすることが必要です。そして、そこから遡って「そのために必要となるアウトプットは何か」「そのために必要なインプットは何か」と、ゴールから『逆算思考』で考えることが重要です、と西山氏は強調します。

問題提起3:広報の最終ゴールは、「誰に、どう思われたいか」

では、広報の最終ゴール(アウトカム)とは何でしょうか。西山氏は「広報にとって一番大事なことは、『誰に、どう思われたいか』です」と言います。経営戦略に基づいて、それを明確にすることから、広報の目標設定、KPI設定、効果測定は始まります。「それは必ずしも数値で示さなくても構いません。文章でもいいので、『誰』と『どう』を明確にした上で、そこ(アウトカム)から逆算して、インプットとアウトプットを考えることが重要です」と西山氏は締めくくりました。

ご参考:広報・PRの効果測定のための「PR Matrix ダッシュボード」
広報の効果測定を効果的・効率的に行うためのツールとして、電通PRコンサルティングでサービス提供している「PR Matrix ダッシュボード」
https://prx.dentsuprc.co.jp/prmd_service202312


4)グループディスカッション(4/11):「各社の広報活動における目標・KPIの課題、改善策」

 後半のディスカッションでは、グループに分かれ、西山氏からの問題提起に基づき、各社の広報活動における目標・KPIの現状課題と改善策について共有・議論しました。ディスカッションでは、次のような情報共有や新たな気づきがあったとの発表がありました。

 「誰に、どう思われたいか」というアウトカムから考えることは、重要なアプローチだと思う

  • これまで社内では、インプットやアウトプットについての目標は議論されていたが、アウトカムの議論はなかった。重要な視点だと思うので、早速、社内で共有し議論したい。
  •  最終ゴール(アウトカム)から逆算して考えることで、インプットやアウトプットがよりクリアになると思う。
  •  多くの事業を行っているため、アウトカムを一つに絞るのは難しそうだ。その場合は、事業ごとに設定すればいいのだろう。
  •  アウトカムは、業績目標(売上・利益)ではなく、企業パーパス(存在目的)から考えるのがいいかもしれない。

 目標・KPI設定、効果測定をする上で、こんな工夫をしています

  • メディアへの掲載件数ではなく、自社が訴求したい「キーワード」を予め決めておき、そのキーワードの出現件数をカウントしている。
  • ターゲット顧客との接点が多いメディアを「重点媒体」として絞り込み、その媒体での掲載件数を「効果」として測定している。
  • 重点メディアについて掲載されている記事の内容分析を行い、自社が伝えたい情報ではなく、そのメディア側が「欲しがっている情報」を発信するようにしている。

 …とはいえ、KPIの設定は功罪相半ばするのではないか

  • 一度、KPIを定めてしまうと、どうしてもそこに捉われてしまい、それ以外の大事なことを見落としてしまうことにならないか。
  • KPIを達成すること自体が「目的」になってしまい、そのためだけの施策に取り組んでしまう。
  • 広報のマンパワーが少ない中、経営者から複数のKPIを設定されると、本来の広報業務が回らなくなってしまう。

 その他、こんな意見や情報共有もありました

  • 最近では、TVや新聞よりもオウンドメディアやSNSを見る人も多くなっているように思われるため、わが社では、パブリックメディアではなく、オウンドメディアやSNSに軸足を移している。そうなると、KPI設定や効果測定の考え方や手法も変わってくるのだろうか。
  • 社外に対してだけでなく、社内へのアピールを大事にしている。経営者に広報の重要性を理解してもらうために、月1回の経営者との議論の場を設けている。


ディスカッションでの気づきはまだまだ続きます。後編では4月24日に行われたディスカッションでの気づきと、ご参加いただいた方々の感想をご紹介します。

作成:プラスカラー

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