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【広報コラム】パブリックリレーションズを経営に!NO.4「企業価値向上に向けたPR・広報活動とは?〜企業広報に問われる"目標"と"評価"の力〜 」

こんにちは。
第4回のコラムを担当します、(株)電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所上席研究員の増田勲です。

前回は「課題把握力」をテーマに、広報活動の出発点としての役割を紹介しました。今回は、その続編として、「目標設定力」と「インパクト評価力」にスポットを当てます。

この2つの力は、 企業のPR・広報活動をメディア露出などのアウトプットだけで評価するのではなく、ステークホルダーにどのような影響を与えたいのか?(目標)、実際にその目標通りの成果が得られたのか?(インパクト・成果)を測定する力です。 企業が社会とどう向き合い、どのような変化を起こしたいのか――その目標と成果をつなぐ鍵となります。

ちなみに、第3回のコラムからは、「企業価値向上に向けたPR・広報活動とは?」と題して、当研究所が開発した「価値づくり広報モデル」と、そのモデルを用いて調査した「企業広報力調査」のデータをもとに紹介しています。このモデルや調査の内容については、前回のコラムをご覧頂きたいと思います。

↓ ↓ ↓ 前回のコラムはこちら ↓ ↓ ↓
https://www.elnet.co.jp/column/dprcolumn3/


最も実施率が低い「インパクト評価力」とは?

当研究所では、企業の広報活動をStrategy、Activity、Managementの3つの領域に分け、それぞれに必要な9つの力を整理した「価値づくり広報モデル」を策定し、調査・研究を行っています。
 
その中で、「目標設定力」はStrategy領域、「インパクト評価力」はManagement領域に位置づけられています。

このモデルを用いて2024年に、上場企業約3,800社の広報担当責任者宛てに調査票を送付し実施した調査の結果が下のレーダーチャートです。回答いただいた533社のデータを集計したもので、一番外側の青い線が総合点70点以上のS+クラス、以下、S、A、B 、10点未満のCクラスの平均値となっています。どのクラスの平均値で見ても、最も実施率が低かったのは、「インパクト評価力」でした。
 
さらに、「インパクト評価力」に関する10の調査項目の実施率を示したものが下のグラフです。全般的に実施率が低く、「インパクト評価力」の中では、実施率が最も高い 「広報活動の効果を定期的に測定し、広報戦略に反映している」でも25.9%止まりとなりました。
 

なぜ「インパクト評価力」が低いのか?

私は、その理由は「目標設定力」の弱さにあると考えています。「目標設定力」と「インパクト評価力」は、本モデルにおいて、以下のように定義しています。

  • 「目標設定力」:企業の社会的価値や社会的影響(インパクト)を考慮し、広報目標を設定する能力
  • 「インパクト評価力」:戦略の精度向上を図るため、広報活動の社会的影響(インパクト)を継続的に測定する能力


どちらにも共通するのは、『社会的影響(インパクト)』という視点です。「どんな社会的影響(インパクト)を起こしたいのか」が不明確であれば、その達成度を測ることも困難です。

調査では、「目標設定力」の10の調査項目のうち、広報力の高い企業とそうでない企業で、最も実施率に差があったのは「広報活動の結果、獲得したい社会的影響(インパクト)を設定している」の項目でした。
 

・「広報活動の結果、獲得したい社会的影響(インパクト)を設定している」
 S+&Sクラス企業群 :54.1%
 Aクラス企業群    :16.4%
 → 37.7ポイントの差

これは、広報力の高い企業ほど、自社が獲得したい社会的影響(インパクト)を明確に言語化、数値化(定量化)できていることを示しています。

「目標設定力」と「インパクト評価力」を高めるために

では、「目標設定力」と「インパクト評価力」を高めるには、どうすればよいのでしょうか。以下の3つの視点がヒントになります。

①経営戦略とつなげる

広報の目標は、企業全体の経営戦略と連動している必要があります。企業の方向性とズレていると、どれだけ発信しても本質的な価値は生まれません。

②測定できる目標にする

「信頼される企業になる」といった抽象的な目標も大切ですが、それだけでは評価の基準が曖昧になります。「GHG(温室効果ガス)排出量〇%削減」「従業員エンゲージメント肯定回答〇%以上」など、数値で測れる形に落とし込むことが重要です。

③目指すインパクトから“逆算”する

「社会にどんな影響(インパクト)を与えたいか?」を出発点にして、そのために必要な広報活動を設計しましょう。最近では、非財務目標、無形資産価値に目標を定めている企業が増加しているように感じます。目標設定を、企業として目指す“ありたき姿”からの逆算で考えることがポイントです。  


「目標設定力」を高めることは、必然的に「インパクト評価力」の基盤を整えることにもつながります。「目標設定」と「評価」は表裏一体であり、両者をセットで取り組むことで、はじめて本質的な“価値づくり広報”が実現するのです。  

「目標設定力」、「インパクト評価力」のそれぞれの項目が、本コラムのグラフ上に掲載されていますので、自社が実施できているかどうかを、検証してみてはいかがでしょうか。

あなたの会社は何を目指しているのか?

PRはもはや、単なる情報発信の手段ではありません。社会の声に耳を傾け、対話を通じて信頼を構築し、企業が社会や未来に「何を届けるか」を見据える経営の一翼であると考えています。
広報活動の「目標」と「評価」が、自社に対する期待や不安といった社会の声を正しく捉えたものになっていなければ、企業価値の向上に繋がらないのは明らかです。

“何を伝えるか”の前に、“何を目指すのか”、そして“どんな変化を起こせているか”を問い続けること。

これこそが、企業価値を高めるためのPR・広報活動の真髄ではないでしょうか。

効率のよい情報収集や情勢分析を心掛け、それを社内共有する仕組みを上手に活用しながら、あなたの会社ならではの適切な「目標」と「評価軸」を設定していきましょう。

広報担当者の方の毎日の情報収集に。
ELNETのクリッピングサービスは新聞約100紙、雑誌約30誌、WEBニュース約1,000サイトからの収集した記事情報をお届けします。


第5回は、Activity領域の「PESO活用力」に注目します。次回もどうぞご期待ください

※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。

執筆者プロフィール


増田 勲
企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内) 部長
広告代理店で約14年間、マーケティングコミュニケーション業務全般に携わる。2014年電通パブリックリレーションズ入社。ディレクション職として、飲料メーカー、外資系コーヒーチェーン、精密機器メーカー等を担当し、戦略シナリオの策定や商品・サービスのローンチ時期の戦略PRに従事。
現在は、企業広報戦略研究所で、「企業広報の発展」に寄与すべく、産学連携による調査研究・論文・学会発表等を実践。企業のブランディングや経営広報、KPIの設定、広報効果測定、新モデル開発等の業務を行う。経営管理学修士(MBA)。日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。


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