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【広報コラム】パブリックリレーションズを経営に!NO.3「企業価値向上に向けたPR・広報活動とは? 〜出発点となる”課題把握力”〜」

こんにちは。第3回のコラムを担当します、企業広報戦略研究所上席研究員の増田 勲です。
当研究所では、企業・大学・専門家等と連携して広報や経営に関する調査・研究を行い、その成果を発信することで「企業広報の発展」に取り組んでいます。
連載3回目からは、変化する社会や情報環境の中で、企業広報がどう企業価値の向上に貢献できるのかを探っていきます。
 
今回は、2014年から隔年で実施している「企業広報力調査」のデータをもとに、いま企業に求められる9つの「広報力」のうちの、課題把握力」に焦点を当ててご紹介します。
 

価値づくり広報モデルと9つの広報力

近年、企業広報の役割は「話題づくり」から「価値づくり」へと進化しています。単なる一過性の露出だけではなく、企業の将来価値や社会との持続的な関係性をどう構築していくのかが問われていると考えています。
当研究所では、このような時代の変化を踏まえ、2022年に従来のモデルからアップデートした「価値づくり広報モデル」を策定しました。このモデルは企業の広報活動を3つの領域(Strategy、Activity、Management)に分け、それぞれに必要な9つの力を整理しています。

  1. Strategy領域:課題把握力、目標設定力、ファクト力
  2. Activity領域:クリエイティブ力、PESO活用力、エンゲージメント力
  3. Management領域:インパクト評価力、リスクマネジメント力、広報組織力 


このモデルを用いて2024年に、上場企業約3,800社の広報担当責任者宛てに調査票を送付し調査を実施しました。回答をいただいた533社のデータを集計した結果が下のレーダーチャートになります。一番外側の青い線が総合点70点以上のS+クラス、以下、S、A、B 、10点未満のCクラスの平均値となっています。

今回のコラムでは、広報活動の「出発点」となるStrategy領域の「課題把握力」にスポットを当てます。

「課題把握力」は広報活動の出発点

「課題把握力」は、価値づくり広報モデルにおいて以下のように定義しています。
 
-「広報目標達成に向け、メディアやステークホルダーからの期待や不安を捉え、広報課題を発見・設定する能力」-
 
これは、今の自社がどんな課題を抱えていて、どんな期待・不安を持たれているのかを社外や社内の視点から俯瞰的に把握することで、広報目標との乖離を把握する力です。この力がなければ、広報目標も広報戦略も適切に立てることはできません。
2024年の企業広報力調査では、「課題把握力」に関する10の調査項目のうち、広報力の高い企業とそうでない企業で、最も実施率に差があったのは「現状と広報課題・広報目標との乖離を整理し、明文化している」の項目でした。

「現状と広報課題・広報目標との乖離を整理し、明文化している」
 S+&Sクラス企業群 :77.1%
 Aクラス企業群  :37.3%
  → 約40ポイントの差
 
これは、広報力の高い企業ほど、自社の課題や目標とのギャップを明確に言語化、数値化(定量化)できていることを示しています。次に差が大きかったのは、「主な経済・社会・政治動向を把握・分析している」の項目でした。
 
「主な経済・社会・政治動向を把握・分析している」
 S+&Sクラス企業群 :82.6%
 Aクラス企業群  :50.9%
  → 約30ポイントの差
 
外部環境の変化に鈍感な企業は、ステークホルダーの関心や社会課題に対応しきれず、信頼を得にくくなってしまいます。この2つの項目は、「課題把握力」の中で、広報の専門家が重視する項目の1位と2位であり、専門家の意識においても、とても重要な項目となっています。
 

広報力の高い企業が実践する2つの視点

調査結果から見えてくる、「課題把握力」を高めるうえでのポイントは、次の2点です。
 
 ①自社の現状と理想の姿とのギャップを見える化できているか?
  → 自社に対する期待や不安の声を効率よく収集し社内共有すること。 

 ②外部環境(メディア、社会情勢など)を的確に読み取れているか?
  報道状況やSNSなどのスピーディな情報収集・情勢分析。

これらの視点を欠くと、情報発信のタイミングを見誤ったり、ズレたメッセージになってしまうリスクがあります。
 
“何を伝えるか”の前に、“何を見極めるか”。それが課題把握力です。

社会が企業に寄せる期待、不安、その期待や不安に対してどう行動すべきかを見極める力が、いま広報部門に求められています。変化が激しい時代には、自社の足元をしっかり見つめると同時に、社会の空気を敏感に察知する姿勢がとても重要です。

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第4回では、広報力の中でも実施率が低く、多くの企業が課題と捉える「インパクト評価力」と、それに密接に関係する「目標設定力」に注目します。
次回もどうぞご期待ください。

※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。

執筆者プロフィール


増田 勲
企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内) 部長
広告代理店で約14年間、マーケティングコミュニケーション業務全般に携わる。2014年電通パブリックリレーションズ入社。ディレクション職として、飲料メーカー、外資系コーヒーチェーン、精密機器メーカー等を担当し、戦略シナリオの策定や商品・サービスのローンチ時期の戦略PRに従事。
現在は、企業広報戦略研究所で、「企業広報の発展」に寄与すべく、産学連携による調査研究・論文・学会発表等を実践。企業のブランディングや経営広報、KPIの設定、広報効果測定、新モデル開発等の業務を行う。経営管理学修士(MBA)。日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。


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