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【事例付き】CSRとは?具体的な内容やメリットを簡単に解説

企業は経済的な利益を追求するだけではなく、社会や環境に対しても責任を持ち、社会問題の解決に貢献するよう求められています。この記事ではCSRの概要と取り組むべき行動や事例、取り組むメリットなどについて解説します。

CSR(企業の社会的責任)とは

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の頭文字をとった用語で「企業の社会的責任」という意味を表す用語です。

日本においては経済産業省で、次のように定義されています。

「企業の社会的責任」とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。

引用元:経済産業省ウェブサイト
    価値創造経営、開示・対話、企業会計、CSR(企業の社会的責任)について
   (https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/index.html

CSRはもともと1950年代にヨーロッパで生まれた概念とされ、日本では1990年代頃から注目されるようになりました。

日本でCSRが普及した理由と背景

日本での普及の背景としては、高度経済成長期による深刻な環境破壊や公害問題、オイルショックなどの経済危機が関係しています。こうした社会問題により、企業には利益追求だけでなく社会的責任を持つ姿勢が求められるようになりました。

CSRの基本視点|国際規格ISO26000(7つの原則)について

2010年に国際標準化機構によって発行された、社会的責任に関する国際規格「ISO26000」を紹介します。

ISO26000は、社会的責任を果たすための基本的な視点について示した基準であり、次のような7つの原則が掲げられています。いずれも、企業がCSR活動をする際に重要とされているポイントです。

1. 説明責任
2. 透明性
3. 倫理的な行動
4. ステークホルダーの利害の尊重
5. 法の支配の尊重
6. 国際行動規範の尊重
7. 人権の尊重

参照元:日本規格協会グループ「ISO26000(社会的責任)」

日本企業が取り組むべきCSR活動の具体的内容

ISO26000は国際規格のため、日本企業もそれに沿った活動を行うのが基本です。具体的には、以下に挙げる7つの中核主題にもとづく活動が求められます。

1. 組織統治
外部のステークホルダーや内部の従業員とのコミュニケーションを図り、説明責任と透明性を伴った意思決定を実行することです。たとえばステークホルダーとの対話や、社外専門家の活用などが挙げられます。

2. 人権
誰もが差別を受けないように社内外の人々の人権へ配慮するとともに、間接的にも差別を生み出すような環境を作り出さず、万一問題が起きたときの対応も検討しておくことです。具体的には差別のない採用の実施や不当な労働条件での労働の禁止などが挙げられます。

3. 労働慣行
組織がすべての労働者に対して平等な労働機会を提供し、公正で安全・健康な労働環境や労働条件を整備するとともに、組織と従業員、政府による社会対話を通じてよりよい仕組みをつくることです。たとえばワークライフバランスの推進や非正規社員の正規登用などの取り組みです。

4. 環境
法令や条例など最低限の条件をあらためて確認して遵守するとともに、組織の活動が環境に与える影響に対して責任を負うことです。具体的には省エネや資源利用量の削減・効率化、資源の再利用などの取り組みを推進します。

5. 公正な事業慣行
談合などの不正競争を禁ずる独占禁止法や下請法などを確認するとともに、社会的な倫理感を守りながら公正な事業を進めていくことです。たとえば内部通報窓口の設置や下請け事業者への配慮などの取り組みです。

6. 消費者課題
不正確な宣伝や安全性に問題がある製品を提供するなどして消費者に害を与えたり、消費者がその製品・サービスを使って社会に悪影響をおよぼしたりしないよう、組織の製品・サービスに責任を持つことです。たとえば品質マネジメントシステムの導入や安全基準の策定などです。

7.コミュニティへの参画及びコミュニティの発展
自治体や商店街など組織が所属するコミュニティとの対話を通じて、地域における教育や文化を向上させたり雇用を生み出したりして、コミュニティの発展へ寄与することです。たとえば地域のボランティア活動への参加や、地域住民・児童を対象とした啓発活動の展開などが挙げられます。

【事例】日本企業のCSR活動

他社のリアルなCSR活動を聞きたいなら

京セラ

電気機器メーカーである京セラ株式会社は「人間として何が正しいか」を判断基準とする「京セラフィロソフィ」を軸に事業活動を展開しており、CSR活動もそれを根幹としています。注力する4つの重点市場として「情報通信」「自動車関連」「環境・エネルギー」「医療・ヘルスケア」をあげ、自動車の安全性能の向上や太陽電池をはじめとするクリーンエネルギーの活用などに取り組んでいます。
また、子どもたちの環境教育支援や、スポーツへの支援など、社会貢献活動も積極的に行っています。

会社案内映像・パンフレット|会社案内|京セラ

武田薬品工業

製薬会社である武田薬品工業株式会社では、2016年からグローバルCSRプログラムをスタートし、途上国・新興国における医療や健康を支援しています。支援活動の内容は毎年、全世界で働く約5万人の従業員による投票で決定するなど、全従業員が一丸となってCSRに取り組んでいます。

CSRパートナーシップ│Takeda

FUJIFILM

精密化学メーカーの富士フイルムホールディングス株式会社は1983年に民間企業としては初めて、自然保護を対象に資金を拠出する公益信託、グリーンファンドを設立するなど、永年にわたり社会貢献活動を続けています。同社のCSR活動における軸は、企業理念にもとづき、誠実かつ公正な姿勢で事業活動を行うことで社会の持続可能な発展に貢献するという考え方です。

同社が掲げる重点的な課題としては、環境・健康・生活・働き方・サプライチェーン・ガバナンスなどが挙げられます。

CSRの考え方と各種方針│FUJIFILM

TOYOTA

トヨタ自動車株式会社では「幸せの量産」をミッションに掲げ、事業活動における基本理念として、地域住民から愛され豊かな社会に貢献できる企業をめざしてきました。社内では、多種多様な価値観やスキルを持った人材が、いきいきと働き活躍できるよう環境づくりに取り組んでいます。その結果、2023年には「健康経営銘柄」に2度目の選定、「健康経営優良法人ホワイト500」に6年連続で認定されるなど輝かしい成果を上げました。

関連記事
◆経済産業省ウェブサイト
「健康経営銘柄2023」に49社を選定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230308003/20230308003.html
◆経済産業省ウェブサイト
「健康経営優良法人2023」認定法人が決定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230308002/20230308002.html

ダイキン

空調機・化学製品メーカーのダイキン工業株式会社では「グループ経営理念」と「人を基軸におく経営」の実践が持続的な発展につながるという考えのもと、サステナビリティ重点テーマを「価値創造」と「価値創造を支える基盤」に分けて具体化し、社会課題の解決に取り組んでいます。CSR委員会を設けCSR・地球環境センターがグループのCSRを統括、推進しています。

また、近年は世界中で空調の需要が高まっている中で地球温暖化の課題を重くとらえ、多角的にカーボンニュートラルへ挑戦しています。

マネジメント│DAIKIN

KDDI

KDDI株式会社は多国籍企業として各国や各地域の法制度や慣習、文化的背景を理解するとともに、地域社会との連携も大切に考えています。社会的な信頼を得るため、コンプライアンスを徹底することも重点課題としています。

また、環境マネジメント体制を構築し、環境保全活動を通じて国際規格ISO14001の認証取得を進めてきました。郷土史のDVDを作成し、博物館を通じて小中学校等への配布や、海外拠点のある開発途上国の中高一貫校へパソコンを寄贈するなど、教育活動にも力を入れているのが特徴です。

KDDI「KDDIグループのCSR活動」

CSR活動も活発な京セラのクリッピングサービス導入事例をご紹介

CSRに取り組むメリット

CSR活動の中心にある目的や意義は「企業の社会的信頼の確保」です。そのうえで、CSR活動による具体的なメリットを4つ解説します。

1. 企業の認知度や評価の向上

CSR活動を積極的に行うことで、企業は自社の理念や価値観を社会に発信できます。これにより、認知度の向上や消費者からの信頼獲得につながるのがメリットです。またCSR活動はメディアなどで取り上げられることもあるため、企業のブランドイメージや評価を高める効果も期待できます。ひいては自社商品やサービスの販売力向上にもつながります。

2. 従業員の採用や定着率の向上

近年、日本は少子高齢化により人手不足が深刻化しています。しかしCSR活動によって企業の認知度や信頼性が上がれば、イメージアップにつながり、より優秀な人材を採用することが可能です。さらに認知度が上がることで自社製品・サービスの販売数や売り上げが伸びれば、その分従業員の待遇条件を改善できる余地が生まれます。ひいては、離職率の低減にも期待できます。

参照元:内閣府ホームページ「令和4年版高齢社会白書」
    (https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf

3. 取引先やステークホルダー(株主)との関係向上

CSR活動は、消費者の一部である取引先やステークホルダーからの評価にもつながります。取引先については、信頼関係と長期的なパートナーシップを構築するのに有効です。株主については、企業の将来性や競争力をアピールできるため、結果的に資金調達がスムーズになる可能性があります。そうなれば新規事業へのチャレンジや販路拡大につながります

4. 法令違反などによる事業継続危機の回避

企業がCSRに取り組めば、必然的に従業員のコンプライアンスに対する意識が向上し、国内外の関連する法令やルール違反が減っていきます。万一、違反が判明した場合も早期に発見し適切な是正ができる確率が高くなり、法令違反などが原因で事業の継続が困難になる事態を回避できます。

CSR活動を導入する流れ

以下、自社でCSR活動に取り組む場合の大まかなプロセスを紹介します。

1.自社の事業活動に沿ってCSR活動の現実的な方針を決めます。
2.CSRで得られるメリットと、ステークホルダーの価値を明確化しましょう。
3.取り組むべき課題を見つけたら、自社の企業理念に照らし、予算やスケジュール、推進メンバーなどを具体的に決めます。
4.課題解決に向けた活動計画を立案し、実践します。
5.実施活動を振り返り、改善を繰り返したうえで、CSR報告を公開、社外へ確実に発信します。

CSRに関連する用語と意味の違い

コンプライアンスとCSRの違い

コンプライアンスは広く「法令順守」を意味し、社会的な規範となるような活動をすることです。一方、CSRはコンプライアンスの基礎となる部分と解されています。

サステナビリティとCSRの違い

サステナビリティは「持続可能性」という意味であり、社会的機能の維持や継続をめざす考え方、あるいはそれを実現するためのシステムなどのことです。CSRもサステナビリティの要素を持つものの、社会全体ではなく「企業が果たす社会的責任」といった意味で、より限定されている点に違いがあります。

SDGsとCSRの違い

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」を指します。これは国際的な目標である一方で、CSRは企業が独自に取り組む活動です。

SDGsの概要などについては、下記コラムで詳しく紹介しています。
【簡単に】SDGsとは? 企業の取り組み事例や17の目標を解説

CSVとCSRの違い

CSVは「Creating Shared Value」の略で、経営・マーケティング用語では「共有価値の創造」と訳されます。社会的課題の解決と経済的価値の創出を同時にめざす、経営上のフレームワークを指します。あくまでも経営・マーケティングの世界で使われる言葉であり、社会的責任という使命を指すCSRとは異なります。

ESGとCSRの違い

ESGは企業が将来にわたって成長し続けるために重要とされる「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の3つの観点を指し、投資家が主にリスク判断としてチェックしています。ESGとCSRは似ていますが、ESGは、本業のビジネスを通じて環境や社会問題を解決しようとする考え方に立っています。しかしCSRは、そもそもビジネスは環境や社会問題を犠牲にしていることが前提にあり、利益の一部を使って社会責任を負うといった考え方がポイントです。

参照元:内閣府ホームページ「国外調査 2.2.1 EGSとは何か」
    (https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/r02kokusai/h2_02_01.html

ESGの情報収集にクリッピングサービスをご活用している

CSR活動の発信方法


ここからは、自社が取り組んだCSR活動を社外へ効果的に発信するためには、どのような方法があるのかについて紹介します。

CSRレポートを発行する

CSR活動を実践している企業の多くは、CSRレポートやサステナビリティレポート、統合報告書などで実施内容や成果を発信しています。ただ、これらは基本的に自社Webサイトに掲載されるのみで、投資先として注目している投資家の目に入ったとしても、一般消費者に認知してもらうのは困難です

オウンドメディアやテレビCMなどを活用

オウンドメディアとは、さまざまな取り組みや考え方を発信するために自社が保有するメディアの総称を指します。CSRを広めるオウンドメディアを立ち上げれば、WebやSNSなども活用しながら継続して一般消費者に発信できます。また、予算があればテレビCMなどのマスメディアを使う方法もあります。

広報サポートなら「ELspot+(イーエルスポットプラス)」

CSR活動に取り組んでいるものの、どのように認知向上を図ればよいのかわからない場合は、他社の事例を参考にしてみるのもよいでしょう。
とはいえ、他社の広報担当者とのつながりがない方もいるかもしれません。そういった方には、広報コミュニティへの参加がおすすめです。広報コミュニティでは、他社の広報担当者との交流を通して経験談やノウハウを知ることができます。
さらに、自社の業界以外の様々な業種の広報担当者と交流することで、より情報の幅が広がります。広報コミュニティ「ELspot+」は、業種や広報歴を問わず様々な企業の広報担当者が参加しています。広報同士の交流や広報活動のアップデートしたい方は、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

CSR活動を推進すると社外からの評価が高まり、資金調達がしやすくなるほか、販売力が強化され雇用の安定化にもつながるといったメリットが生まれます。CSR活動の発信についてより効果的な方法を模索したい場合は「ELspot+」を活用するのもおすすめです。

※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。

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