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【ELspot+】事業成長を加速させる「ナラティブ」の描き方

【本日の流れ】

1:レクチャー:『事業成長を加速させる「ナラティブ」の描き方』
  ゲスト講師:矢嶋 聡 氏(株式会社はね 代表取締役/元LINE・メルカリ広報責任者)
2:ワークショップ:「みんなでナラティブを考えてみよう」

3:質疑応答

4:参加者の感想

5:講師からのメッセージ

【主旨・背景】

企業の存在意義や社会的責任が問われる時代。単なるパブリシティの枠を超えて、社会の文脈と自社のビジョンをつなぎ合わせた「ナラティブ(物語)」に基づく広報戦略の重要性が高まっています。

そこで、6月のELspot+交流勉強会では、「ナラティブ」を起点とした広報戦略の立案・実行支援を行う株式会社はね代表の矢嶋聡氏をお迎えし、自社の製品・サービスの表層的な価値を伝えるだけでなく、自社の社会的価値・意義を定義し直すことで、ステークホルダーからの信頼を獲得する広報コミュニケーション手法を学びました。 

当日は、前半でナラティブの基本的な考え方や作り方について解説いただいた上で、後半ではワークショップにより、各自で自社のナラティブを実際に作成・共有しました。
本レポートでは、当日の内容・様子をお届けします。


【本日の交流勉強会】

1: 「事業成長を加速させる「ナラティブ」の描き方」(矢嶋 聡 氏)

ゲスト講師:矢嶋 聡 氏(株式会社はね 代表取締役/元LINE・メルカリ広報責任者)
https://hane-pr.com/



【Contents】

1)事業会社において求められるPR(広報)の役割・マインドセット
2)社会との合意形成手法としての「ナラティブ」の考え方・作り方
3)まとめ

【Summary】

1)事業会社において求められるPR(広報)の役割・マインドセット

レクチャーは、「そもそも広報の役割とは何か」という、基本的な問いかけから始まりました。

ポイント①:広報の役割は、メディアに報じてもらうこと(情報メッセンジャー=露出屋)ではない
● 「広報の目的は、ステークホルダーとの良好な関係性を築き、自社の事業やサービスをより良く知ってもらうことを通して、『事業機会の最大化』、『企業価値の向上』を図ることです。そのためには、メディア(第三者評価)を介して、自社に対する好意的な世論・評判の形成(パーセプションチェンジ)を行うことが重要です」(矢嶋氏)

ポイント②:「社会の文脈」を通じて、自社のメッセージを発信する
● 「しかし、必ずしも、『自社が言いたいこと(自社の文脈)』と『メディアが聞きたいこと(社会の文脈)』が一致するわけではありません。そのため、社会や世間の関心に合わせて、自社の情報を編集する(=見立てる)ことが重要になります。それは、『自社の文脈』と『社会の文脈』の共通項(最適解)を発見することです」(矢嶋氏)

ポイント③:「コンテンツ」と「コンテキスト」を合わせることで、「ナラティブ」が創られる
●  「自社の製品・サービスを、単なる『コンテンツ』(スペック、表層的価値)として一方的に伝えるのではなく、『コンテキスト』(世間の関心、社会的価値)と合わせて語る(見立てる)ことにより、『ナラティブ』(意味)が創られます。それが、社会(世間)からのポジティブな反応・評判につながります」(矢嶋氏)

《事例:セブンイレブンの事例》
“サラダチキン”という「コンテンツ」(スペック)を、“糖質制限ダイエットブーム”という「コンテキスト」(世間の関心)と合わせて語ることで、『コンビニで気軽にできるダイエット食』という「ナラティブ」が生まれ、市場が爆発的に拡大した。


ポイント④:「一貫性」と「継続性」をもってナラティブを発信することが、信頼の醸成につながる
● 「自社の事業やビジョンを踏まえた『自社の文脈(自社のあるべき姿=パーパス)を起点とした『ナラティブ』を、社内外のモーメントに合わせて一貫性と継続性を持って発信していくことでパーセプションチェンジが可能となり、信頼の醸成につながります」(矢嶋氏)

2)社会との合意形成手法としての「ナラティブ」の考え方・作り方

では、ナラティブとはどのようなもので、具体的にはどのように作ればいいのでしょうか。
レクチャーの後半では、ナラティブの考え方とともに、ナラティブを作る上でのポイントについて解説いただきました。

ポイント⑤:ナラティブとは、社会とともにつくる“共創ストーリー”
 ● 「ナラティブとは、単なるスローガンや広告コピー(表層的価値)ではありません。『自社がなぜ存在するのか』『何をめざしているのか』を、社会を巻き込みながら、社会とともにつくる“共創ストーリー”です」(矢嶋氏)

《事例:メルカリの事例》
メルカリでは、「スマホ一つで簡単に売り買いできるフリマアプリ」という“表層的価値”だけでなく、「循環型社会や一億総活躍社会への貢献」という“社会的価値”を付け加えることで、「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る会社」という共創ストーリー=ナラティブを社会とともに共創した。


ポイント⑥:メディアが知りたい情報は、その企業が社会に何を提供したいか
 ● 「企業のステークホルダーが株主・顧客から、社会全体(地域、環境、パートナー、従業員など)へと拡大する中、メディア(社会・世間)が知りたい情報は、『企業の短期的な業績や利益』(それはIR資料を見れば分かる)ではなく、『その企業が社会の中でどういう意義・価値を提供していきたいか』といった中長期的なことです」(矢嶋氏)

3)まとめ

▶ 広報の役割は、パブリシティだけではなく、社会との合意形成(アジェンダセッティング)も重要な役割である。
▶事業やサービスの表層的価値ではなく、自社が事業を通じて解決したい社会課題(社会的意義・価値)を、『ナラティブ』として語ることで、「社会にとって必要な存在」としての合意形成を得ることができる。
▶自社のあるべき姿(パーパス)を起点としたナラティブを一貫性と継続性をもって発信することが、自社に対する信頼の醸成につながる。

2:ワークショップ:「みんなでナラティブを考えてみよう」

レクチャーに続き、自社のナラティブを考えるワークショップを行いました。ワークショップでは、【ワークシート:ナラティブを考える際の思考フレーム】に基づき、各自で自社のナラティブを作成しました。その後、作成した自社のナラティブを他の参加者と共有し、意見交換を行いました。

3:質疑応答

Q1:全社のナラティブ、事業のナラティブ、採用のナラティブなど、会社の中に複数のナラティブがあってもいいのか。
A1:「ナラティブは会社のミッションやパーパスと違い、1度決めたら終わりというものではなく、世の中の時流(コンテキスト)により変わり得るものである。ただし、最終的には、どれも会社のパーパスやミッションという大きな幹に帰結させる必要はある」(矢嶋氏)


Q2:ナラティブを作成しようとしても、実際の自社の施策や実績が小粒だったり、インパクトが弱かったりする場合はどうすればいいか。

A2:「社内だけで考えていると、どうしてもミクロ(小粒)な視点になってしまう。そういう場合は、国や政府の動きといったマクロ(社会的)な動向を取り入れるようにしている。たとえば、メルカリの場合、経産省が毎年出している『中古品市場レポート』の内容や発表タイミングに合わせて、自社データに基づいた『メルカリの経済効果レポート』を発信し、セミナーを開催したりした」(矢嶋氏)


Q3:「自社の文脈」と「社会の文脈」を合わせる“見立て”がズレてしまう場合がある。どうすれば、見立ての精度を高めることができるか。

A3:「私の場合は、ズレる前提で発信をして、反応を見ながら修正している。まずは仮説を言語化し、結果との差分を検証することが重要。結果が想定通りでなくても、そこからチューニングしていけば、新たな発見につながる」(矢嶋氏)


Q4:ナラティブを社外発表するのは、どのようなタイミングがいいか。また、発表しただけで終わらせないようにするには、どうしたらいいか。

A4:「何もない時に発表してもインパクトはない。本決算や中期経営計画の発表時や資金調達を行うタイミングに合わせて発表するのが良い。また、発表するだけでなく、発表後にそのナラティブを体現・象徴するような具体的施策やイベントを仕掛けると効果的である」(矢嶋氏)


4:参加者の感想

交流勉強会の参加者から、次のような感想がありました。

「ナラティブ」の基本的な考え方から具体的な作り方まで、実際の経験や事例に基づいたお話しをいただき、大変勉強になりました。
・ちょうど今年度から「ナラティブ広報」に本格的に取り組み始めたところでしたので、具体的な作り方や進め方が分かり、大変参考になりました。自社に持ち帰り、部内で共有・実践したいと思います。
・「自社のナラティブを考える」ワークショップがあったことで、単なる広報手法・ノウハウの習得ではなく、自分事としてナラティブを捉えることができました。
・ワークショップで用いた「ワークシート」は、さまざまな話題・分野で応用できるツールだと思います。早速、社内で有効活用したいと思います。

5:講師からのメッセージ

・当日は皆様の関心の高さに驚かされました。ナラティブはミッションと違い、一度決めて終わりではありません。世の中の時流(コンテキスト)に合わせてチューニングし、アップデートし続けることが重要です。今回の講義・ワークショップで学んだ内容を参考に、恐れずトライ&エラーで磨き上げていっていただけたらと思います。



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