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「保護期間70年」ああ勘違い

まもなく創立75周年を迎える月並商事。節目の周年とあって、さまざまな式典や記念パーティー、販促企画が予定されている。広報課主任・飯江留美子(29)は「周年プロモーション特別プロジェクト」の一員でもある。
周年を盛り上げる企画として、創立から現在までの写真をパネルにして、PRイベントでミニ写真展として展示することが決まった。しかし、戦後まもなく発足した月並商事は、創立当時の写真が意外に少ない。「まずは、当時の新聞、本をさがすことかなあ」。写真収集を受け持った飯江は、近くの図書館へ出かけた。
「そうですねえ。全国紙のデータベースサービスなら、明治の創刊当時からの紙面が見られます。
キーワードを入力すれば記事の場所もわかりますよ」。カウンターの司書が丁寧に教えてくれた。
月並商事をキーワードにし、75年前の創立年で期間指定するが、記事はヒットしなかった。「この年の主要な出来事は…」。データベースにあった「年表」機能を表示すると、日本で初めてサマータイムが実施された年であることがわかった。
「働き方改革は、うちのコンセプトでもあるし、ちょうどいいかも」。大きな時計塔の針を修正する作業員を仰角で撮影した、迫力のある写真を選んだ。撮影者名が添えてあり、のちに著名となる写真家のようだったが気にしなかった。同じデータベースからもう数点、当年を代表する出来事の記事を選んだ。
図書館で選んだ記事と写真のコピーをとり、拡大してパネルに仕立て、東京でのPRイベント開幕日に登場させた。
「展示順路のスタートが、寂しくならなくてよかったわ。私、優秀!」とつぶやいた飯江だが、潜んでいるリスクには気づいていなかった。

イベントに招待されていた全国紙の幹部が、パネルをじっくりと眺めた後、尋ねた。「どうもうちの新聞のようだが、出典が書いてないのはなぜですか」。一瞬「しまった。出典を載せ忘れた」と思った飯江だが、とっさに答えた。
「著作権の保護期間は発表から70年ですから、それを過ぎているものはだれでも自由に使えます。確かに御社の記事と写真を使わせていただきましたが、出典の記載がなくても問題ないと思います」。
2日後に、全国紙の知財部からメールが届いた。記事の方は著作者人格権により出典の表示を求めること、写真の方は著作権を有する写真家が存命であり複製許諾が望ましいこと、などが記され「不当な方法での利用には法的手段が用いられることがあります」と結ばれていた。「そんな危ないものを展示したのか。そのパネルはすぐ撤去だ」。課長の怒声が飛んだ。

解説著作者の権利保護期間は、単純に「70年」ではありません

著作権の保護期間についての誤解がトラブルを呼んでしまいました。
氏名表示権を含む「著作者人格権」は、著作者が存しなくなった後でも侵害となる行為はできません。今回の記事の場合では、公表後70年を過ぎましたが、出典表示を求められました。写真の方は、撮影者であり著作者である写真家が存命ですから、著作者人格権は存続しており、写真家への敬意の観点から複製許諾が求められていたのでしょう。
なお、新聞に載った記事・写真については、新聞社所属の記者が書いたものは職務著作なので著作権は新聞社のもの、社外の筆者や写真家の作品の著作権はその作者のもの、というのが一般的です。
昭和初期の新聞・雑誌に載った写真を電子化してストックしていた会社がありました。
正しい出典も書かず、さも自分たちが撮影者から集めてきたかのように装い、販売まで行っていたため、新聞社・通信社が共同で抗議し、不当な利用の中止、出典の明示などを約束させました。公表から70年たっているからといっても野放図な利用はできません。

著作権リスク回避 ○×判定

会社設立80周年を記念する広告に、80年前の設立日の新聞1面を使った。新聞の現物は、会社の倉庫にとってあった。
新聞1面を使えば出典もわかりますし、問題はないと思います。ただし新聞社に相談すれば、よりよい保存状態のデータが利用できる可能性もあります。
発表から75年たったある評論家(故人)のエッセーを広告に使ったが、現代社会情勢に合わせてあちこち改変したので、評論家の名前は載せなかった。
氏名表示権・同一性保持権という著作者人格権は、著作者の死後でも侵害となる行為はできません。

著作権についてもっと詳しく

  • 新聞・雑誌記事の著作権について 著作権の概要についてご紹介します。
  • 「著作権」に関するお悩みコーナーユーザのよくあるお悩みについてまとめました
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