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【広報コラム】パブリックリレーションズを経営に!NO.7「企業価値向上に向けたPR・広報活動とは?〜これからの広報組織はどうあるべきか?〜」

こんにちは。(株)電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所上席研究員の増田勲です。

第3回から第6回のコラムでは、「企業価値向上に向けたPR・広報活動とは?」というテーマのもと、当研究所が開発した「価値づくり広報モデル」について紹介してきました。
今回は、Management領域の「広報組織力」に焦点を当て、広報と経営のより良い連携の在り方を探っていきます。
 
 ちなみに、前回までのコラムはこちらをご覧ください。

↓ ↓ ↓ 前回のコラムはこちら ↓ ↓ ↓
第3回:https://www.elnet.co.jp/column/dprcolumn3/
第4回:https://www.elnet.co.jp/column/dprcolumn4/
第5回:https://www.elnet.co.jp/column/dprcolumn5/
第6回:https://www.elnet.co.jp/column/dprcolumn6/


「広報組織力」とは

「広報組織力」とは、「経営戦略と広報戦略を連携させるための、意思決定の仕組み、スキル向上などの組織的能力」と、本モデルにおいて定義しています。
広報を文字通りの“広く報じる(伝える)部門”としてだけではなく、経営機能の一つとして位置づけるためのとても重要な力とも言えるでしょう。
企業価値を本質的に高めていくには、単発の発信活動ではなく、企業の経営戦略や向かうべき方向性と歩調を合わせた戦略的な広報活動が不可欠です。

ところが、当研究所が実施した2024年の調査によると、「広報組織力」の10の調査項目の実施率で、「経営層と広報戦略を共有している」と回答した企業は48.2%と、過半数に届いていません。専門家が最も重視する項目でありながら、半数以上の企業が経営層と広報戦略を共有できていないのが現状です。

これは、単なるコミュニケーション不足によるものだけではないように感じています。
もっと根深い構造的な課題が隠れているかもしれません。

「共有しない」のではなく、「共有できない」?

第4回のコラムの「企業広報に問われる“目標”と“評価”の力」の中で、企業広報において「目標設定力」と「インパクト評価力」が充分に機能していないという課題を感じている企業が多いことを紹介いたしました。

下のグラフは、「目標設定力」の10の調査項目の実施率のデータです。このデータを見てみると、
 
・「経営戦略とリンクした広報戦略を立案している」企業は 43.2%
・「広報活動の結果、獲得したい社会的影響(インパクト)を設定している」企業は 16.1%
 
にとどまります。

つまり、「共有していない」のではなく、経営陣と「共有できるような広報戦略になっていない」という、構造的な問題が存在しているのではないでしょうか。では、経営と共有できる広報戦略とするにはどうしたら良いのでしょうか? 


経営と広報戦略の連動には目標の連動がカギ

経営と広報戦略を連動させるためには、経営層の目的意識と広報戦略とを合わせることが重要です。下のグラフは、広報活動の効果測定方法について調査したデータです。

「新聞や雑誌で報道された件数、分量」が1位、以下「自社Webサイトのアクセス数・滞在時間など」、「Webメディアでの報道量」は、約半数の企業が実施しています。広報施策のアウトプットを定量的に測定するものが上位に来ています。このアウトプットの測定が重要なのは当然なのですが、そこで終わってしまっては、経営戦略と広報戦略とを連動させるには不十分だと考えます。

経営層と共通の目的意識で広報戦略を語っていくには、アウトプットに加えて、その先のアウトカム─つまり、社会やステークホルダーにどんな変化(インパクト)をもたらしたか、という視点が欠かせません。また、広報部の役割として、アウトプットである、メディアへの掲載・露出を把握しておくこと、そしてそのアウトプットとアウトカムとのつながりを捉え、理解しておくことも重要です。

日頃から効率のよい情報収集と情勢分析を心掛け、それを社内共有する仕組みを活用しながら、適切な「目標」を設定していきましょう。
たとえば、アウトカムを以下の図のように、意識変容と行動変容の2段階で評価することも効果的です。

このアウトカムの「A /B指標」を掲げることで、アウトプットとアウトカム(購買・行動等)とのつながりが見えてきますし、何より、アウトカム目標を正しく設定し把握することは、単なる情報発信を超えて“経営とつながる広報”の実現に近づいていく一歩であると考えます。

経営と社会をつなぐ、次世代広報へ

「広報組織力」を強化するには、

広報が“経営と社会をつなぐハブ”になるための視点と仕組みを獲得すること

が重要だと考えます。

この“社会”というワードの中には、様々なステークホルダーが含まれています。顧客はもちろん、株主・投資家や、就職希望者、インナーである従業員などです。広報部門が「経営戦略」と「社会の声」のどちらにも応える存在になること。それこそが、企業の持続的な価値創造の鍵となるでしょう。
 
“経営と社会をつなぐ、広報”─それは、あなたの会社にとってどのような姿でしょうか?



 

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次回以降は、企業が掲げる中長期の経営戦略を読み解きながら、「パブリックリレーションズを経営に!」をさらに掘り下げていきます。
次回もどうぞご期待ください。

※本コラムはELNET外部の筆者が執筆しています。

執筆者プロフィール


増田 勲
企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内) 部長
広告代理店で約14年間、マーケティングコミュニケーション業務全般に携わる。2014年電通パブリックリレーションズ入社。ディレクション職として、飲料メーカー、外資系コーヒーチェーン、精密機器メーカー等を担当し、戦略シナリオの策定や商品・サービスのローンチ時期の戦略PRに従事。
現在は、企業広報戦略研究所で、「企業広報の発展」に寄与すべく、産学連携による調査研究・論文・学会発表等を実践。企業のブランディングや経営広報、KPIの設定、広報効果測定、新モデル開発等の業務を行う。経営管理学修士(MBA)。日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。


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