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ようやく「要約」できたのに

東南アジアのA国で月並商事が始めた「自立の島 プロジェクト」が注目を集めている。太陽光発電と海水真水化を使って、さびれた島を自立したリゾート地に開発するという。プレスリリース発表の翌日から広報課にも問い合わせが相次ぎ、ある経済紙では、日本の離島政策と絡めて、5回にわたって連載された。他の全国紙でも経済面に大きなスペースがさかれている。
「どの記事も褒めてますね」と広報課主任・飯江留美子(29)。「最近では出色のプロジェクトだな。これほど新聞で好意的に取り上げられたのは珍しい。しばらくしたら、各紙の記事を一覧にしてみるか」。課長も機嫌がいい。
10日ほどして、広報課で契約している記事データベース「キジサーチ」から「月並商事」「自立の島」をキーワードにして飯江が検索すると、100件近くの記事や論説、コラムのヒットがあった。通信社配信の同一記事重複などを除くと、全国紙、主要地方紙、産業紙では32件に絞り込めた。
「本文は長いし、コピーは著作権上まずいから、要約かな」。一覧表には、新聞名、日付、見出し、200字程度の要約、という風に埋めていく。「新聞からの評価点もABCの3段階で入れようか」。丸一日かけてA4用紙6枚に仕上げ、提出した。 「あの一覧レポート、役員会でも評判よかったそうだ。我が社のサイトの就活生向けページに載せることになった。頼むぞ」。課長の指示で、サイトに載せるため細部の調整をすることになった。出典として「キジサーチより引用」の文言も入れた。
ところが、飯江の考えていた「要約」「引用」には、思ってもいなかった問題点が潜んでいた。

就活生向けページの開設からしばらくたって、キジサーチ社から電話が入った。「サイトの記事一覧で要約をされているようですが、新聞社から許諾をとられましたか」「いえ、キジサーチから使わせてもらいました。うちはキジサーチの大量ユーザーですし、便利ですから。出典はきちんと書いてありますよ」と飯江が答える。
「キジサーチの利用規約はお読みでしょうか。許可なく複製、翻案、改変、蓄積などはできないんですよ」「いや、複製ではなく要約ですから。自分で記事のポイントを見つけて短くしたんです。丸写しじゃありません」と反論する。
「要約も翻案にあたりますので、利用規約違反となりますし、蓄積した上に誰でも見られるサイトに掲載したとなると困りましたね・・・。とりあえず掲載は中止をお願いいたします。もしもし、もしもし、よろしいですか」。

解説料金を払っていても、制約なく使えるわけではありません

著作物の「要約」については、以下のように考えられます。原作品を読まなくても内容がわかるようなものは、著作権法上の「翻案」にあたり許諾が必要となるが、著作物自体の存在だけを紹介するごく短い要旨程度のものならば許容される。
今回の200字程度の記事要約となると、いくら独自に汗をかいたと主張しても、許諾が必要な案件とみなされるでしょう。
データベースサービスでは、複製、要約、保存などを禁じている場合がほとんど。利用規約をよく確認することが大切です。料金を払っているからといって、制約なく使えるわけではありません。さらに、「キジサーチより引用」という言葉の使い方も問題です。著作権法で認められた「引用」とは、「報道・批評・研究などの目的の正当な範囲内で、出典と引用部分が明示され、引用部分が主ではなく従」などの条件が求められます。

著作権リスク回避 ○×判定

記事データベースの利用料はきちんと払っているので、自由にコピーする。
通常は、複製・蓄積など禁止されています。契約書・利用規約など必ず確認が必要です。
ハウツー本が業務に役立ちそうなので、自分の力で要約したものを、社内で共有する。
内容がわかる形で要約するのは翻案にあたり、許諾が必要となります。
財政問題に関する書物から、ポイント部分約500字を引用。その他の部分約2500字を執筆して、論文を作成。
新たに書いた部分が主、引用部分が従、なので正当な引用方法です。出典元も忘れずに記してください。

著作権についてもっと詳しく

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