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著作権判例クイズ

元社員が作ったプログラムを会社は自由に使えない?

Summary 概要

A社(被告)は、B氏(原告)に業務委託して、騒音などの計測作業に用いる6つのプログラムを制作してもらいました。B氏はA社やその関連会社の社員だった時期がありますが、制作したのはプログラム制作業として独立した後でした。A社は納品されたプログラムを複数の現場で利用できるように複製したり改変したりしていましたが、後日、B氏から「著作権侵害である」と損害賠償を請求されました。

Judgment 判決

判決は、「複製権や同一性保持権(著作者人格権の1つ)が侵害された」というB氏の主張を退けました。元社員のB氏はA社でのプログラムの利用実態を認識していたことなどから、複製や改変を許容する「黙示の合意があった」と判断しました。
ただ、2つのプログラムについては氏名表示権(著作者人格権の1つ)の侵害があったとして、A社に11万円の支払いを命じました。

Point ポイント

プログラムも著作権法による保護の対象です。今回の判決でも、創意工夫があり著作物としての要件を満たしていると認められました。また、社員としてではなく独立後の制作なので、会社が著作者となる「職務著作」にも当たりません。一般的には、著作者(この場合はB氏)の許諾がないまま著作物を複製したり改変したりすれば著作権や著作者人格権の侵害になります。
しかし、今回のケースでは、B氏は元社員だけあって、プログラムが現場ごとにカスタマイズされて使われることを知っており、納品後の修正にも応じていたことなどから、B氏が複製や改変を暗黙のうちに承知していたとみなされました。
A社とB氏が業務請負契約を結ぶ際、A社でのプログラムの利用実態を踏まえて、複製や改変を認めるのか、認めた場合に対価はどうするのか、などについて明確な取り決めをしておけばよかったのですが、それがなかったため紛争に発展してしまいました。

Reference 参考

・令和6年1月29日 大阪地方裁判所 令和元年(ワ)第10940号 損害賠償請求事件

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