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著作権判例クイズ

他人のYouTube動画から静止画をキャプチャしてブログで紹介したが、「引用」だから大丈夫?

Summary 概要

Aは、B社が動画投稿サイトYouTubeで公開していた動画8本からキャプチャした大量の静止画を、自身のブログに並べ、テキストで動画の内容と自身の感想などを紹介していました。
B社が著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害で損害賠償を請求したのに対し、Aは「ブログ記事は動画を紹介したうえで批評・意見・感想を述べたもの」「各静止画の前後にはAが創作した文章が掲載されている」などとして、著作権法で認められた「引用」に当たるなどと主張しました。

Judgment 判決

一審の東京地裁、控訴審の知財高裁とも、Aによる著作権侵害を認めて損害賠償を命じました。「引用」に当たるかどうかについては、「動画の全体をほぼ把握できるようになっていて、社会通念上合理的な範囲内のものであるということはできない」と断じました。
また、賠償額は、テレビ局が定めている映像の使用料を参考に、一審では242万円、控訴審では192万4405円と算定されました。賠償額には、ブログ発信者を特定するための開示手続き費用や弁護士費用も含まれます。

Point ポイント

著作権法で認められている「引用」についてA側は①主従関係の明確性②明瞭区分性③出典の明示――などの条件をクリアしていると主張しました。しかし、それ以前に、著作権法32条に明記されているように、「公正な慣行との合致」や「目的の正当性」といった観点からの検討が必要です。
判決は「他人の著作物を引用して利用することが許されるためには、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり、かつ、引用の目的との関係で正当な範囲内、すなわち、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要である」と大原則を示したうえで、静止画とテキストで動画の内容をなぞったAのブログは合理的な範囲内ではないと判断しました。
なお、ブログ記事を読めば動画を見ずに動画の内容が分かってしまう紹介の仕方だったこともあり、賠償額の算定に当たっても、テレビ映像から写真を切り出した際の使用料でなく、映像そのものの使用料が参考にされました。

Reference 参考

・令和5年7月13日 知的財産高等裁判所 令和5年(ネ) 第10001号 損害賠償請求控訴事件
 (原審 東京地方裁判所 令和3年 (ワ) 第24148号)
・駒沢公園行政書士事務所日記メルマガ 参照

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