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電子掲示板の誘惑

「輸入食品の原料に無許可添加物」
朝刊の週刊誌広告に、目立つ見出しが躍っている。「うちが扱ったやつね。こりゃ苦情殺到だわ」。月並商事の広報課主任・飯江留美子(29)は思わず舌打ちした。
週刊誌を駅で買って、電車の中で読む。案の定、月並商事がこの食品で大きく利益を挙げていることが書かれている。広報課には課員5人がそろい、緊急ミーティングが始まった。

「食品輸入課長が緊急会議中でつかまらん」。課長が口火を切る。「記事の中身は大筋あっているが、細かいデータでは反論もできるらしい。午後3時には記者会見を開く。大会議室をおさえろ」
「それにしても、取材されていることを何で広報課に言わなかったんだ」。課の電話が次々鳴り出した。各県にある支社・営業所からの問い合わせだった。「週刊誌でたたかれてるって本当か。駅の売店にはないぞ」「どんな中身なのか詳しく教えてくれ」。

「週刊誌がまだ発売されていない県もあります。社内のネットワークに記事を載せて、まず全社で危機情報を共有しませんか」。飯江の提案に、「それだ。すぐやろう」と課長の指示が飛んだ。
飯江ら3人で週刊誌の記事6ページをばらして、複合機で1枚ずつスキャン、PDF化した。
全社員が閲覧権限を持つ社内ネットワークの「注目!電子掲示板」に6ページをアップする。作業は午前10時には終わった。
「あとは全社員向けメールで、お知らせを流せ。事前キャッチができなかったのは痛いが、危機管理の初動としてはまずまずか・・・」と課長。しかし本当に大変なのは、そのあとだった。

午後1時、週刊誌編集部からの電話を飯江がとった。「おたくの九州支社から、記事の内容に誤りがあると電話が来たんですがねえ。九州ではまだ今週号発売前なんですが、一字一句まで記事の中身を知っておられる。聞いたところ、東京の広報課が社内ネットワークに記事全ページをアップしたって言うじゃありませんか。おたくの社員は全部で3500人くらいですか。450円の週刊誌をその人数にばらまかれたとなると、単純計算でも結構な損害額になっちゃいますねえ」。受話器を握った飯江の顔が青ざめていった…

解説著作物の複製、サイトへのアップなどは、許諾が必要

この週刊誌記事は、「著作物」にあたります。著作物を複製する場合には、必ず著作者の「複製許諾」が必要です。社内だけの利用でも、例外ではありません。
ページごとにスキャン、PDF化するのも複製にあたりますので、「全社員3500人が閲覧する社内ネットワークにアップする」という内容を明示して、週刊誌の出版社(あるいは筆者)に許諾申請をしなければなりませんでした。ただし、今回のようなケースで複製許諾が受けられるかといえば、正直なかなか難しいところでしょう。今回は会社の危機という事情はあったにせよ、著作権にまで考えが及ばなかったのは痛いところです。なお、複製許諾が不要な例外もありますが、「私的使用」「学校授業」など、ごく限定的です。
著作権侵害の実例としては、庁内ネットワークの電子掲示板に無許諾で雑誌記事を載せ、損害賠償命令を受けたケースがあります。

著作権リスク回避 ○×判定

週刊誌を必要部数購入し、現物を社内回覧する。
現物の回覧は、複製行為が含まれないので、最も安全です。
緊急事態なので、まずネットワークに掲載してみて、出版社から抗議が来たら許諾申請の交渉に入る。
ばれなければいいという姿勢は、コンプライアンス上問題があります。
ネットワーク掲載ではなく、週刊誌のページを各支社にFAXする。
FAXも複製の一つですので、許諾が必要です。

著作権についてもっと詳しく

  • 新聞・雑誌記事の著作権について 著作権の概要についてご紹介します。
  • 「著作権」に関するお悩みコーナーユーザのよくあるお悩みについてまとめました
  • 「著作権」に関するケーススタディ

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