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著作権Q&A

File 03 うまい話にはエアポケット

「広報課員 ○本△男 4月1日付 石油事業本部員とする」
課会で発表された辞令を聞いて、月並商事広報課主任・飯江留美子(29)は落ち込んだ。1人出ていくが補充がない。5人態勢でもきつかったのに、4人とは。
「課長、朝7時からの切り抜き当番どうします?今までの人数なら何とか2人を当番につけられましたが、総勢4人となると…。前日に残業もあるだろうし、朝も他の業務が一杯です」。他の課員からも質問が飛ぶ。「うーん。そこだよなあ。実は、人数が減った分は外注でまかなってもいいと言われてる。クリッピングを請け負ってくれる業者を至急探してみてくれよ」。
「クリッピング」というキーワードで飯江が検索サイトを探す。「朝一番にFAX配信」「社内ネットワークで素早く共有」「著作権もちろんクリア」などなど。各社さまざまのセールスポイントがある。その中でも「記事の切り抜きの現物をバイク便で早朝にお届けします。コストパフォーマンスも抜群」というA社の広告が目にとまった。記事を切り抜き、紙に貼って、という今のやり方とも近い。
電話してみる。「1日12紙から50記事程度ですと、月額30万円くらいですね」「今は幹部向けに22部コピーしているんだけれど、何とかなりますか」「お任せください。1部あたり5円の追加で対応できます」。歯切れのいい営業マンの話し方に、「じゃあ、正式見積りお願いします。できれば4月から頼みたいので」と声も弾んだ。「月額合計40万円程度か。予算も大丈夫だ。いいところ見つけてくれたな」。課長もうなずいてくれた。
4月1日朝8時、広報課で待つ飯江に、バイク便で切り抜きの原紙とコピーが届いた。「うわあ、助かる。今までの2時間作業がなくなって、新聞社に払っていた許諾料もいらなくなるなんて」。
だが、「うまい話」には、やっぱり裏があった。

何をしくじったかというと

全社の始業時間になって、法務部から電話が入った。「今までの切り抜きコピーと違うものが配られてきたけど、外注したのでしょうか。業者名が入っていますね」。「そうなんです。業務効率化の見本みたいなものですよ」と飯江。「少し前にコピー許諾を取っていなかった件で大騒ぎになって、新聞各社から許諾をとりましたよね。この業者のコピーは大丈夫なんですか」「えっ、業者が許諾を取っているはずですが…。確認してみます」。
飯江が電話すると、先日の営業マンが出た。「新聞社への許諾申請ですか。こちらではそこまでの手間はかけられないので、利用するお客様の方で必要な手続きはしていただくことになっています。ご説明していなかったでしょうか」。

解説:作業会社か利用者か、どこかで必ず複製許諾を得る必要があります

クリッピングを外部発注すると、社員の作業軽減など、確かに大きな効果が見込めます。ただし忘れてはならないのは、複製の許諾です。切り抜き作業から利用するユーザーまでのどこかの段階で、必ず許諾を得なければなりません。
「作業する業者が許諾を取っているはず」という思い込みから確認を怠り、無許諾というエアポケット状態に陥るのが一番危険です。外注する場合には、作業者が許諾を取っていることを確認する、許諾がない場合には利用者が許諾申請をする、という心構えが必要です。
「著作権クリア済み」ときちんとうたっている業者であればまずは安心でしょう。その場合は、利用料金に複製許諾料も含まれており少し割高かもしれませんが、リスク回避の経費という考え方もできます。
今回は法務部の指摘に助けられましたが、社内のコンプライアンス担当者のチェック、内部通報制度など、危ない行為が発覚してしまう機会は増えていくでしょう。ご注意ください。

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