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著作権Q&A

File 02 許されません 22部

月並商事広報課の朝は早い。午前7時には2人が出社して「切り抜き当番」を務める。中央紙6紙と、経済専門紙、工業専門紙などその日の朝刊12紙から、自社の名前が出てくる記事、ライバル企業の記事、海外支社のある20か国に関する記事、経済関係で気になる記事、主な訃報、などを切り抜く。地方紙は当日朝には届かないので、前日のものからその県の支社に関係する記事がないか、探し出す。
大きな作業机。2人で分担して、ページをめくってハサミでチョキチョキ。必要な記事が紙の表裏に重なって配置されているとちょっと面倒だ。切る前に裏面をコピーしておかなくてはならない。
そうやって切り抜いた記事はA4の紙に貼り、新聞名と日付をペンで書き込む。今日は全部で45記事。無言で集中して2時間近くの作業になった。
「終わったー。さあコーヒー飲んで本業だ」。広報課主任・飯江留美子(29)が背伸びした。「まだですよ。重要な順に並べて、役員と局長用に22部コピーしなくちゃなりません」。一緒に作業した後輩がにらむ。「あ、それ頼むわね」。飯江は廊下の自動販売機へ逃げ出した。
その日の午後、新聞6紙連名で「重要なご案内」と書かれたダイレクトメールが届いた。「継続的な複製利用(クリッピング)にはご契約手続きを」と書いてある。「課長、我が社の切り抜きは新聞社と契約してあるんですよね」「おお、大丈夫だ。確か10年前に当時の課長が新聞社に電話して『切り抜きしてもいいか』と問い合わせた。OKという返事だったと聞いたぞ」「じゃあ安心ですね」。
ところが、10年の間に、課長も知らない「落とし穴」があいていたのだった。

何をしくじったかというと

数日後、6紙の幹事役と名乗る女性から電話を受けた。「複製利用のご契約のお願いはご覧いただけましたか」「ええ、以前にご相談して了解をもらっているそうです」と飯江。
「確かに10年前に相談をいただいた記録があります。その際は、新聞の原紙を切り抜きして回覧するという内容でしたので、許諾料は不要となっていました。ではその後も変わりなくということでよろしいですね。万が一、コピー配布などされていますと、その時点までさかのぼってお支払いいただくことになりますが。きちんと管理されているようで安心いたしました」。
「え、ということは、コピーの許諾はもらってないんですか。ちょ、ちょっと待ってください。課長、課長~!」

解説:コピーの現状にあわせて、許諾申請も更新を

記事共有のための反復的・継続的な複製(クリッピング)は、新聞社への許諾申請が必要です。今回のケースでは、当初は新聞原紙を切り抜くだけでしたので、新聞社の許諾料も不要でした。ところが、10年を経るうちに、原紙の回覧だけではすまなくなり、22部コピーして配布という形態になったようです。しかし「新聞社には了解をもらっている」という部分だけが引き継がれ、新たなコピーという事態に対応した許諾申請はされないままとなりました。なお、1枚の紙の裏表に必要な記事があり、切り抜く前に裏をコピーする、というのも複製にあたりますのでご注意を。
無許諾の複製が発覚した場合には、さかのぼって許諾料を請求される場合があります。月間100記事を22部コピーした場合、ある新聞の公開料金表では9,000円の許諾料となっています。これを何紙分も何年分もさかのぼって支払うとなると、予算措置的にも大変ですね。不正な利用に自ら気づいた場合には、一刻も早く新聞社に相談されるようお勧めします。

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